オラクル、「Fusion Middleware」の重要性を強調~クラウドを支えるコア製品に


執行役員 ソフトウェアライセンス事業 製品事業統括 Fusion Middleware事業統括本部長の桐生卓氏

 日本オラクル株式会社は11月1日、企業のクラウド基盤を構築するミドルウェア製品「Oracle Fusion Middleware」に関するプレス向け説明会を開催した。あわせて、オラクルのSOA製品「Oracle Service Bus」が、全日本空輸株式会社(以下、ANA)のミッション・クリティカルな基幹業務連携基盤として稼働開始した事例についても発表があった。

 まず、執行役員 ソフトウェアライセンス事業 製品事業統括 Fusion Middleware事業統括本部長の桐生卓氏が、「Oracle Fusion Middleware」の市場概況を説明。「現在、グローバルで1万20000社以上の企業が『Oracle Fusion Middleware』を採用している。昨年6月時点では約9万社だったところが、1年強で約3万社も増加しており、グローバルで急速に採用企業が拡大しているのが現状」だという。

 また、桐生氏は、「10月初旬に開催された『Oracle OpenWorld 2011』のキーノートで、米オラクルCEOのラリー・エリソン氏は、今後の事業展開に関して『Engineered Systems』、『Fusion Applications』、『Private/Public Cloud』の3つのトピックを挙げたが、これらすべてにミドルウェア製品が深く関わっている。このことは、『Oracle Fusion Middleware』の採用拡大という結果に現れており、今後は当社の事業成長を支える役割を担っていくことになる」と、「Oracle OpenWorld 2011」での発表内容を踏まえ、「Oracle Fusion Middleware」の重要性を強調していた。

「Oracle Fusion Middleware」のスタック

 なお、同社では、「Oracle OpenWorld 2011」にあわせて、「Oracle Fusion Middleware」の構成要素である「Application実行基盤」の名称を、「Cloud Application Foundation」に変更したという。「これにより、当社ミドルウェア製品について、クラウド環境を支えるコアコンポーネントとしての位置づけを強めていく」(桐生氏)としている。

 次に、Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部 シニアディレクターの清水照久氏が、SOAの代表的な導入事例を紹介。その中で、最新のSOA事例として、サービス指向のアプリケーション環境を構築する「Oracle Service Bus」が、ANAの基幹業務システムを支える全社共通の連携基盤として稼働開始したことを発表した。

Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部 シニアディレクターの清水照久氏ANAが採用したシステム共通連携基盤アーキテクチャのイメージ

 この背景について清水氏は、「現在、飛行機の競合相手は、新幹線になっており、ANAでは顧客獲得競争力の向上と国内外旅客需要の増加が課題となっていた。また、ビジネス環境や顧客サービスニーズの変化に対応する一方で、サービス開発コストは低減が求められていた。そこで、今回、『Oracle Service Bus』を採用することで、基幹業務システムのアーキテクチャを従来の個別最適型から全体最適型に変革し、柔軟で迅速なシステム開発を実現した」と述べている。

 具体的な導入効果としては、2010年10月の本番稼働後、2011年2月までに約70の異種の業務システムを同基盤を利用した接続に移行完了。2012年中に、次期国内旅客システムの移行を実施する予定だ。また、無停止が前提となる高可用性を確保しながら、性能面でもスループット500TPS/応答時間40ms以下を実現。さらに、開発期間の短縮やコストの削減も実現したという。

 最後に、清水氏は、クラウドアプリケーションインフラの「Oracle Exalogic」の今後の展開について触れ、「ハードウェア部分の変更はしばらく行わず、ソフトウェアのアップデートで機能強化を進めていく。ロードマップの方向性は、仮想化とクラウドの2つ。仮想化については、『Oracle VM 3.0』をExalogic向けに機能拡張し、スケーラブルなx86処理系の仮想化や、VMのオーバーヘッド低減、ソフトウェア技術とExalogicハードウェア技術の融合を進めていく。一方、クラウドについては、ソフトウェアをクラウド展開する際に、オーサリングツールによる仮想アセンブリを行い、それをExalogic内に展開するという新しいモデルを提案していく」との計画を明らかにした。


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