オラクル、インメモリ・データグリッド製品「Oracle Coherence」新版

メモリと外部ディスクを透過的に組み合わせ可能に


 日本オラクル株式会社(オラクル)は23日、インメモリ・データグリッド製品の最新盤「Oracle Coherence 3.7」を発表した。透過的にメモリと外部ディスクを組み合わせ、性能を維持しながら大量データ処理に対応する新機能「Elastic Data」を搭載している。

 Oracle Coherenceは、複数のハードウェアから構成されたサーバー群で仮想的な共有メモリ領域を確保し、大量のデータを高速処理する製品。ミドルウェア製品群「Oracle Fusion Middleware 11g」の主要コンポーネントとして、アプリケーションサーバー「Oracle WebLogic Server」とともに、アプリケーショングリッドおよびクラウド環境を構築する上で重要な製品という。アプリケーショングリッドとは、アプリケーションの層にあるデータやプロセスを効率的に負荷分散することで、サーバーの利用効率の向上や動作の信頼性・拡張性を担保するアーキテクチャだ。

 最新版では、大規模システムへの導入をさらに加速させるべく、構成や管理を容易にしたほか、データストレージ性能の向上、アプリケーションサーバーやデスクトップアプリケーションなどのクライアント接続における動的・自動制御による負荷分散を実現した。

 具体的に、新機能の「Elastic Data」により、分散コンピューティング環境におけるストレージとして、メモリとSSD、SANなどの外部ディスクデバイスを透過的に組み合わせて利用可能となった。これにより、ストレージの種類に関係なく、容量やリソースを柔軟に計画できるとともに、メモリと同等の処理速度で外部デバイス内のデータへアクセスできるという。

 「Elastic Data」以外の新機能としては、動的負荷分散と自動プロキシディスカバリを搭載。データグリッドにアクセスしているアプリケーションサーバーやデスクトップアプリケーションなどのクライアント接続と負荷分散を効果的に行えるという。

 また、F5 BIG-IP Local Traffic ManagerおよびSSLアクセラレーションとの統合や、アプリケーションサーバー「Oracle GlassFish Server」との統合を果たした。同サーバーのユーザーは「Oracle Coherence 3.7」を使用することで、アプリケーションコードを変更することなく、アプリケーションの容量拡張を実現できるという。


NTTぷららが「ひかりTV」に導入

 では、同製品は実際にどのような用途で使われているのだろうか。23日、製品リリースとともにNTTぷららでの採用がアナウンスされた。導入支援したのは新日鉄ソリューションズだ。

 NTTぷららは、インターネット接続サービス、およびブロードバンド映像配信サービス「ひかりTV」を提供している。「ひかりTV」は2008年にサービス開始以来、順調にユーザー数を増やし、2010年3月に100万契約、2011年3月末時点で140万契約を突破した。

 ユーザーの急激な増加により利用情報が増大し、特に利用料金の計算処理時間の短縮が目下の課題となっていた。Oracle Coherenceはこの解決に利用されている。従来は、都度契約者情報のデータベースへ問い合わせを必要とした処理を、複数のサーバーのメモリ上に分散して配置することで、高速な処理を実現している。

 採用の決め手として、将来の契約者増加に対してもサーバー追加で対応できること、性能検証の結果、高いパフォーマンスが確認できたこと、既存データベースに最小限の影響で導入できたこと――の3点を挙げている。また実際の効果として、料金計算のバッチ処理時間を90%短縮できたとしている。

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