日本オラクル、メインフレーム環境の移行を実現するミドルウェア「Tuxedo ART」
日本オラクル Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部 シニアディレクターの清水照久氏 |
Oracle Tuxedo ART 11g R1の特徴 |
日本オラクル株式会社は12日、メインフレーム上のアプリケーションをリホストするためのミドルウェア「Oracle Tuxedo ART 11g R1」(以下、Tuxedo ART)を発表した。
Tuxedo ARTは、IBMメインフレーム上で動作しているアプリケーションをオープン環境で動作させるミドルウェア製品。JCL(Job Control Language)バッチ、CICS(Customer Information Control System)アプリケーションの実行環境である「Oracle Tuxedo Application Runtime for CICS and Batch 11g R1」と、メインフレーム向けのアプリケーションをオープン環境向けに変換する移行ツール「Oracle Tuxedo Application Rehosting Workbench 11g R1」の、2つの製品から構成されている。
このうちOracle Tuxedo Application Rehosting Workbenchでは、極力自動化することを心がけ、移行に際しての負荷を軽減。また、優れたエンジンと精度の高い構文解析などにより、「10万行に1回あるかないか」(日本オラクル Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部 シニアディレクターの清水照久氏)という、極めて低いエラー率を実現している。ただし、それでも少なからず人手による支援は必要なため、SIerや、オープン移行を支援するパートナーと協力してこの面では支援していくとした。
変換後のオープン環境での動作については、まずCISCアプリケーションは、「アプリケーションコードは変更せず、メインフレームで動いていた通りに動かすほか、3270のターミナルサーバーを提供するので、ユーザーからの使用感は変わらない」(清水氏)点が特徴。3270の画面がそのまま見えることから、ユーザートレーニングの必要がなく、スムーズな移行を実現する。
さらに、COBOLアプリケーションのオープン化によって、周りのシステムとつなげやすくなるため、SOA環境との連携など、オープン化の恩恵を十分に受けられるとした。もちろん、「タキシードの、もともと安定している基盤の上に載せられる」(清水氏)も強みで、メインフレームがオープン化したとしても、十分な安定性を提供できるとのこと。
一方バッチについては、kshに変換したジョブをオープン環境で実行する仕組みを提供する。ジョブフローや実行特性は変更されず、「今までの使用感を維持しながら、触りやすく、拡張しやすくなるので、新しいアプリケーションとの橋渡しもスムーズになる」(清水氏)とした。
Oracle Tuxedo Application Rehosting Workbenchによる変換 | CISCアプリケーションの動作 | バッチジョブの動作 |
またTuxedo ARTは、日本オラクルが推進する高可用性実現の取り組み「Maximum Availability Architecture(MAA)」ともマッチしているという。Oracle Databaseや、Exalogic、Exadataといった日本オラクルのアプライアンス製品と組み合わせることにより、信頼性や効率性を向上させられるとして、同社製品の活用による付加価値の向上を強調していた。
販売・展開に関しては、「欧米と比べて国内にはメインフレームが残っている比率が高く、数千残っているうちの1~2割はリホスト手法を採用するだろう」(清水氏)点を指摘した上で「オープンに持って行きたいがコストがかかる、リスクがある、プロジェクト長期化の懸念があるといった理由で先に進めないお客さまを支援し、年間で最低2けたのお客さまは獲得したい」との考えを示した。
Tuxedo ARTの価格は、プロセッサあたり652万1700円、あるいは指名ライセンスあたり19万5700円。
MAAによる可用性向上が可能 | 日本でのビジネス展開 |
なおTuxedo ARTでは、前述したようにパートナーとの協力を重視しており、同日行われた発表会では、NTTデータ 基盤システム事業本部 システム基盤サービスビジネスユニット 第二基盤サービス統括部長の星野亨氏が登壇。
「従来のダウンサイジング手法では、レガシーにあってオープンにないものを個別開発で対応していたため、お客さまの資産も肥大するし工数もかかっていた。しかし当社では、PORTOMICSフレームワークによって極力直さず、肥大化せずに移行を実現している。Tuxedo ARTの活用により、CICSで運営されているお客さまは確実な移行が可能になるので、両社が連携して実際にお客さまに活用いただき、コスト削減につなげていきたい」と話している。
NTTデータ 基盤システム事業本部 システム基盤サービスビジネスユニット 第二基盤サービス統括部長の星野亨氏 | NTTデータのマイグレーションポリシーとTuxedo ARTの関係 |