EMCジャパン、1000km離れたストレージを連携させる「VPLEX Geo」


米EMC エンタープライズ・ストレージ担当バイス・プレジデント兼グローバル製品販売部門チーフ・テクニカルオフィサーのケン・スタインハート氏
VPLEXファミリー

 EMCジャパン株式会社は25日、約1000km離れたデータセンター間でストレージを連携させる新製品「VPLEX Geo」を発売した。

 VPLEX Geoは、地理的に離れた2カ所の場所でストレージを連携(フェデレーション)させ、1つの仮想ストレージプールとして利用可能にする「VPLEX」の上位版。すでに単一データセンター内で異種混在のストレージ連携を実現する「VPLEX Local」と、100km圏内のストレージ連携を実現する「VPLEX Metro」を発表済みだが、今回は約1000kmの距離に対応する。

 距離の根拠は「主にレイテンシ。1000kmのVPLEX Geoでは50msの遅延を許容範囲として設計している。一方の100kmのVPLEX Metroは5msの遅延を想定している。ただしこれは保守的な想定なので、VPLEX Geoをテスト導入している事例では約1700kmで問題なく動作しており、本番移行を決めたユーザーもいる」(米EMC エンタープライズ・ストレージ担当バイス・プレジデント兼グローバル製品販売部門チーフ・テクニカルオフィサーのケン・スタインハート氏)とのこと。

 VPLEXの特長は「スケールアウト・クラスタ・アーキテクチャ」と「分散キャッシュ連携技術」だ。実績ベースで99.999%の可用性を持つというストレージエンジンで、小さく始めて必要に応じて規模をスケールアウトできる。後者では、最新の書き込み位置をVPLEXクラスタ間で共有することで、ホストから完全に透過的に、ストレージの場所を問わず、常に一貫性の取れたデータへ、ローカル・リモート環境のいずれにおいてもフルアクセスできるという。

 構成としては、EMCおよび他社製の複数のストレージをVPLEXで束ねてクラスタを構築。VPLEX Geoなら約1000km離れたVPLEXクラスタ同士でフェデレーションを実現。単一のストレージプールとして利用可能にする。アクティブ/アクティブで動作し、データや仮想マシンなどを長距離で動的に移動できるため、2カ所のデータセンターにおけるリモートアクセス、負荷分散、ワークロードモビリティ、リソース管理標準化、データセンター階層化、分散ミラー、無停止移行、災害退避などの用途で利用できる。

 価格は個別相談。出荷日は7月1日。

 このほかVPLEX Geoの発売と同時に、VPLEXシリーズ全体でハードウェア・ソフトウェアの強化も行っている。ハードウェア面では、新しいラックマウント型の筐体と最新のインテルマルチコアCPUを採用し、従来比でサイズを1/2、消費電力も1/2に削減。新しい10Gigabit Ethernet WANインターフェイスを搭載し、クラスタ間の通信を高速化している。

 ソフトウェア面では、専用OSをバージョンアップしたほか、新たに「VPLEX Witness」を搭載。同ソフトウェアがネットワーク越しに2つのVPLEXクラスタを監視し、障害時に適切なVPLEXクラスタを選択、自動的にリカバリを図ってくれる。

 また従来、今後の計画としては、距離と拠点数の制限のない「VPLEX Global」を投入する予定。複数の拠点にアプリケーションをフェデレーションし、いずれの拠点に対してもRead/Writeともに可能なグローバルでの“Access Anywhere”を実現するという。

VPLEX Witnessの概要今後のロードマップ
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