ニュース

Box Japan、Boxの機能群をユースケースごとにパッケージ化した「Solutions」を始動へ

金融サービスやライフサイエンス、公共などから提供

 株式会社Box Japanは27日、同社2027年度(2026年2月~2027年1月)の事業戦略について説明。新たに「Solutions」を立ち上げ、Boxの機能群をユースケースごとにパッケージ化し、半カスタマイズにより市場導入する仕組みを提供する考えを示した。

 Box Japanの佐藤範之社長は、「今年はAIエージェントを実装し、具体的な価値を得る年になる」と位置づけ、「AIは性能競争から脱却し、業務を動かす存在に進化し、個人の生産性を高めるツールから、組織全体としての効果が求められる段階に入ってきた。AIを実際の業務に実装し、具体的な結果を手に入れる段階に持っていくことになる」と発言。

 「Solutionsは、価値創出までの時間を短縮することができる『型』を提供する。企業が共通に利用できる機能やコンサルティングサービスを提供する一方、金融サービスやライフサイエンス、公共など、人や文書を多く扱う業界を対象に提供していくことになる」という。

Box Japan 社長執行役員の佐藤範之氏

 具体的には、共通業務を提供する「LOB(Lines of Business)&ECM(Enterprise Content Management)」では、契約ライフサイクル管理、RFP受領と回答管理、従業員データ管理、データ主体からのリクエスト管理、情報のアーカイブなどの機能を提供。業界別とな「金融サービス」では、クレーム対応、顧客のオンボーディング/KYC(Know Your Customer)、融資の組成、銀行契約業務など、「ライフサイエンス」では、研究プロジェクト開始、M&A統合、バーチャル査察、製造記録など、「公共領域」では、監査・調査のための証拠保管、検査・現場分析、入社手続きなどの機能を提供する。

Solutionsの立ち上げ

 さらに、シートライセンスの仕組みを継続しながらも、業務のトランザクションに応じて提供するAPIコールやAIユニットを販売する仕組みも用意し、新たな収益化を目指すことも明らかにした。

 「IT部門だけでなく、ユーザー部門とも接点を持ち、業務課題にフォーカスした提案を行う。また、他社との機能比較ではなく、業務成果や投資対効果、経済合理性を証明することで、差別化を図る施策へとシフトしていく」と、新たな方向性を示した。

 一方、同社2026年度(2025年2月~2026年1月)の国内における実績についても振り返り、「非常に大きく成長した1年だった」と語った。

 新規ARR(年間経常収益)は前年比34%増となったほか、98%という高い水準の更新率を維持。特に金融および公共分野では前年比2.5倍に増加。ダイワボウ情報システムとの契約締結により、全国のパートナー企業を通じたBoxの販売が加速している点も大きなトピックとなった。これにより、グローバル全体の売上高に対して、日本市場が占める割合は25%にまで上昇したという。

FY26 日本のビジネス

 国内の導入企業数は2万2000社以上となり、日経225の85%の企業が導入しているという。防衛省航空自衛隊では4万7000人がBoxを導入し、AI利用も促進。三菱UFJ信託銀行が全行導入を行ったほか、新潟県庁やつくば市が全庁で導入。大阪市教育委員会では最上位のEnterprise Advancedを全職員に配布した。

 佐藤社長は、「新たなお客さまを獲得しつつ、既存のお客さまにもしっかりと伴走し、エンタープライズ、ミッドマーケット、SMBのすべてのセグメントで大きく成長している。導入後も、Box Consultingとカスタマーサクセスにより、業務への貢献を維持しており、これが高い更新率につながっている。また、昨年はランサムウェアの被害を受けた日本の企業が多く、大企業だけでなく、中小企業も、新たなテクノロジープラットフォームに移行する際に、Boxを指名して導入するケースが増加している。AIでコンテンツを活用するための基盤として、Boxの認知度が高まっている」とした。

 さらに、「AIエージェント元年にあわせて、AIのフルスタックをパッケージングしたEnterprise Advancedをリリースし、日本におけるAIの民主化や市民開発を加速した。また、金融、公共、地方に対する投資を行うとともに、従業員2000人以下のコマーシャルの領域に注力した。お客さまやパートナーと、しっかりと伴走するために、日本法人の約250人の体制をもとに、成長を続ける組織を追求している」と総括した。

 日本の好調ぶりについては、会見にオンラインで参加したBoxのアーロン・レヴィCEOも言及。「日本は、Boxにとって強力な市場のひとつであり、Box Japanの素晴らしいメンバーに恵まれて、それが成長の基盤になっている。また、日本市場では、パートナー企業とのエコシステムが重要な役割を果たし、Box Japanの成長を支えている。これは、私にとっても、大きな学びになっており、日本での成功に倣い、米国でもパートナー企業との連携を強化しているところである」とコメント。

 さらに、「一般的には、シリコンバレーの企業における日本市場からの売上構成比は5~10%程度である。Box Japanは、グローバルの売上高の25%を占めているが、これは異常だとは思わない。私は満足している。日本のチームが、この比率をもっと引き上げ、90%にまで高めたいというのであればそれでもかまわない。それだけ日本の成長をうれしく思っている」と評価した。

米国からオンライン参加した米Box 共同創業者 兼 CEOのアーロン・レヴィ氏

 また、レヴィCEOは、AIエージェント時代におけるBoxの基本姿勢について、次のように述べた。

 「AIによって、仕事のあり方そのものが一変している。AIエージェントの性能は急速に向上しており、アシスタントの役割から、自律的に仕事を行う新たな労働力としての役割へと変化している。すべての従業員に特定分野の専門家がついており、しかも、1000倍の速さで仕事をしてくれる環境が整ったともいえるだろう。文書のレビュー、プレゼンテーション資料の作成、専門的な分析など、ナレッジワーカーの仕事を大きく変化させ、企業全体の生産性を変えることになる。より円滑な契約締結や、顧客の導入プロセス迅速化、パーソナライズドマーケティングの実現、製品開発の加速、ビジネスリスクの低減などがAIによって可能になる」とする。

AIエージェントの性能は急速に向上している。

 また、「AIによる変革を実現するには、AIエージェントが製品仕様やマーケティングのアセット、人事やセキュリティを含む情報など、ビジネスに関するあらゆる情報を把握している必要がある。ビジネスのコンテキストは、企業のコンテンツのなかに存在しており、これらとAIエージェントをしっかりと連携させる必要がある」という点を指摘。

 しかし、「これまでの企業向けテクノロジーは、AIエージェント向けには設計されていない。実際、90%のコンテンツが非構造化データである。これは、AIエージェントの活用において、本質的な問題であり、正しいコンテンツを適正に扱えるかどうかは、企業の生存にも関わる課題につながる。企業が求めているのは、コンテンツとAIを安全に連携できるプラットフォームであり、インテリジェント・コンテンツ管理がますます重要になる。Boxは、コンテンツとユーザー、エージェント、アプリケーションをつなぐことができ、複数のAIエージェントとコンテンツにより、ワークフローの変革を支援することができる」と語った。

AI変革のプロセス

 これを補足するように、Box Japanプロダクトマーケティング部 エバンジェリスト 浅見顕祐氏は、日本における取り組みに触れながら、BoxのAI戦略を説明した。

Box Japanプロダクトマーケティング部 エバンジェリスト 浅見顕祐氏

 「企業は部分最適の繰り返しによって、情報のサイロ化という課題に直面している。複数のAIを適材適所で使うことは問題ではないが、その情報源となるコンテンツがサイロ化していることが問題である。Boxは、システムやアプリ、ツールごとに、コンテンツを持つ環境から脱却し、すべてのコンテンツを一元管理できるプラットフォームである。1500以上のパートナーソリューションと連携し、ビジネス利用に特化した高度なセキュリティを実現しており、容量が無制限で利用できる課金体系となっている。コンテンツ管理の全体最適化が実現できる」とした。

 また、「AI時代においては、インテリジェント・コンテンツ管理を可能にするだけでなく、Boxが提供するBox AIに加え、さまざまなAIや企業固有の業務に特化したAIエージェントなども活用できる。Boxによって、信頼できる唯一の情報源を整備し、これをAIで活用できる環境が整っている。AI活用のためのSingle Source of Truthを実現できる」とも話している。

インテリジェント・コンテンツ管理

 AIエージェントが使いやすいコンテンツ基盤の実現には、コンテンツの背景や文脈(コンテキスト)を理解する必要があり、Boxでは、それを「コンテキストエンジニアリング」と定義。さらに、コンテキストをもとに、AIに勝手に判断させてはいけないものとして、「セキュリティ」、「ステータス」、「鮮度」の3つのSを挙げ、「Boxであれば、3つのSを管理できる。Boxが提供するさまざまなAIを活用して、データを資産化し、業務を進化させることができる」とした。

コンテキストエンジニアリング

 Boxは、AIによってさらに進化していることもあらためて強調。カスタムエージェントを作成するBox AI Studio、機密レベル分類エージェントであるBox Shield Pro、メタデータ抽出エージェントであるBox Extract、コンテンツを絞り込んで抽出するBox Appsなどを提供。

 その上で、「Boxは、AIによって進化してきたが、今後は、AIエージェントのためにBoxが進化することになる。多様なAIエージェントと連携し、AIエージェント機能と、人およびAIが混在するビジネスプロセスであるHuman in the Loopを強化し、AI-Readyなコンテンツ基盤を実現していく」と述べた。

 Boxは、コンテンツ基盤からナレッジ基盤へと進化し、コンテンツの位置づけも共有から管理へと変化。それがAI時代になって管理から活用へと進むことになり、今後は、AIレディなコンテンツ基盤を実現することを示した。

AIにより進化したBox
AIのために進化するBox

 なお、昨今の「SaaS is Dead」の議論についても言及。Box Japanの佐藤社長は、「SaaS is Deadが叫ばれている。実際、AIエージェントの登場によって、駆逐されたり、弱まったりするSaaSベンダーはあるだろう。だが、AIを武器に加速するSaaSベンダーもある。Boxは、お客さまのSystem of Record(記録のシステム)を、エクサバイトを超える単位で保有しており、AIエージェントは、そのプラットフォーム上で、安全安心に動き、業務を回すことができる。また、あらゆるAIエージェントとも連携できる。コンテキストエンジニアリングと呼ぶ、AIレディな構造化データ基盤を持っている。こうしたSaaSベンダーこそが、次の勝者になる。Boxは、SaaS 2.0ベンダーとして、これからも成長していくことになる」と宣言した。