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Box、公共機関での導入数が2年で4倍以上に――自治体で進むDXの活用事例とは
2025年12月10日 12:00
株式会社Box Japanは9日、公共機関向けの取り組みについて説明会を開催した。同社の公共機関における導入数は、2023年12月の80組織から2025年11月には350組織と、4倍以上に成長。今年8月には、防衛省航空自衛隊が業務インフラにBoxを採用するなど、幅広い組織での導入が進んでいる。
Box Japan 公共営業部 部長の森義貴氏によると、「全庁での導入など大規模な導入も多く、ライセンス数は1年間で倍になっている」という。このことからも、「公共機関でSaaSをより活用する流れが強まっていることがわかる」としている。
また森氏は、小規模自治体でも導入が進んでいるとし、「例えば北海道の八雲町では、350人規模でBoxの導入を決めた。大きな組織ほど意思決定が複雑になるが、この規模の組織が自らクラウドを活用しようとさまざまな取り組みを始めているのも、特に自治体領域では大きな特徴だ」と述べている。
モバイルパソコン導入とネット環境を整備した新潟県
説明会では、新潟県 知事政策局 ICT推進課 政策企画員の佐藤圭祐氏も登壇し、同県におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みを語った。
新潟県では、2021年にデジタル改革実行本部を立ち上げ、DXを推進。県民が時間や場所の制約なく行政サービスを利用できるよう目指しているほか、内部職員が紙を中心とした仕事を見直し、デジタル技術を活用して時間や場所を有効に活用できる働き方を実現することに注力しているという。
こうした方針の下、同県では2022年にモバイルパソコンを導入。また、有線LANから無線LANへの切り替えや、パソコンへの閉域SIM導入により、安全な環境で庁内のネットワークに接続できるようにした。これにより、「場所や時間にとらわれず業務ができる環境が整った」と佐藤氏はいう。
また、これまで自治体のネットワークは、いわゆる「αモデル」という三層分離の考えによって業務端末をLGWAN(自治体専用ネットワーク)に接続、インターネットとは分離していたが、近年になって総務省が「β’モデル」としてクラウド活用を推進するようになり、新潟県でもそのガイドラインに従って新たなネットワーク体系に移行。これにより、今年10月にBoxを導入するに至った。
モバイルパソコンの導入や、制約なくインターネットサービスが利用できるようになったことで、職員が業務効率化を実感しているのはもちろん、ペーパーレス化も進んだ。庁内全体で2020年度から2024年度にかけて紙の使用量が約40%減となり、特に佐藤氏の所属するICT推進課では「実感として99%は紙を削減できている」という。
Boxの導入は、ランサムウェアに対する耐性の向上が主な目的だった。「インターネットに直接接続できるようになったため、ランサムウェア対策は重要だった。その対策においてBoxは非常に有効だと判断し、導入に至った」と佐藤氏は語る。
「Box AI for Hubs」も活用している。これは、社内ポータルに集約されたファイルをAIで検索し、大量の情報の中から必要な情報を引き出せる機能だ。「外部に出せない情報をBoxという安全な環境に格納し、生成AIで回答が得られるようになった。これまで人に聞いていたことをAIに聞くという業務環境の変化を根付かせていきたい」と佐藤氏は述べている。





