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ServiceNowが最新AIプラットフォーム「Zurich」を発表、AIエージェントによる企業変革を加速へ
2025年9月11日 11:00
米ServiceNowは10日(米国太平洋時間)、AIプラットフォーム「ServiceNow AI Platform」の最新版「Zurich」を発表した。同日より一般提供を開始する。新バージョンのリリースに伴い、ServiceNow Japan合同会社が説明会を開催した。
米ServiceNow プレジデント 最高製品責任者 兼 最高執行責任者のアミット・ザヴェリー(Amit Zavery)氏は、Zurichについて、「柔軟でスケーラブルなAI駆動型アプリが開発できるようになる。また、Zurichはセキュリティやガバナンス機能を組み込んでいるほか、ハイパーインテリジェントなプラットフォーム上でハイブリッドなワークフローを実現する」と述べている。
まず、アプリケーションを容易に開発するツールとして提供されるのがBuild Agentだ。同ツールは、ビジネスエキスパートが自然言語で指示するだけで、直感的にAIアプリを開発できるというものだ。デザインから構築、ロジック、統合、テスト、ガバナンスまで、すべてBuild Agentが処理するという。
ServiceNowプラットフォーム上でアプリケーションを構築する開発環境としては、Developer Sandboxが用意されている。従来の共有型開発環境とは異なり、「各チームが専用のインスタンスを持つことで、他チームとの干渉もなく、アイデアやAPIの試行、AI搭載ワークフローのテストなどができる」とザヴェリー氏は説明する。
同環境では、開発リソースの順番待ちや承認プロセスによるボトルネックがなく、即時にサンドボックスを立ち上げて素早く反復開発ができる。バージョン管理との連携やテスト機能により、本番環境に影響を与えることなく変更を検証し品質を確保できるとしている。
セキュリティを担保するツールとしては、ServiceNow Machine Identity Consoleを提供する。これは、エンタープライズグレードの認証機能により、ボットやAPIを直接的に制御するものだ。同コンソールは、AIエージェントからのAPI接続も含め、すべてのAPI接続を一元的に可視化する。例えば、「古い認証方式を使っている場合や、100日以上利用されていない連携がある場合、コンソールが自動的に検出して警告を出し、改善策を提示する」(ザヴェリー氏)という。
また、ワークフロー全体を保護するテンプレートとしては、ServiceNow Vault Consoleを提供。同コンソールでは、新たに発見した機密データを保護するための推奨事項を提示し、主要な指標を監視するカスタマイズ可能なダッシュボードを提供する。従来は複数のツールにわたって手作業で設定が必要だった作業が、1か所で管理できるという。
このほかにも、Zurichではタスクマイニングとプロセスマイニングが可能になった。これにより、業務全体の流れを分析し、人間の専門性が必要な部分と、AIエージェントによる自動化が可能な部分を把握できるという。
また、AIと人間が協調的に業務を進められるよう、Agentic Playbookも用意した。これは、書類の提出やフォームへの入力といった反復的なプロセスを自動化するインテリジェントアシスタントで、例えばクレジットカードの再発行業務では、AIが本人確認からカードの停止・再発行業務を担当し、必要に応じて人間が介入できるようにする。これにより、「AIが定型業務を処理し、人間は判断力が必要な業務に集中できるようになる」とザヴェリー氏は述べている。
ServiceNow Japan 執行役員社長の鈴木正敏氏は、「AIは競争環境を劇的に変えるディスラプティブな技術であり、日本企業がこれをどう使いこなすかが重要だ。AIエージェントの時代は、日本企業にとって長年の課題となっていた生産性を改善し、デジタル活用による企業変革を加速させるチャンスだ」と語る。
鈴木氏は、今後3~5年で人間がAIエージェントに指示を出して業務を実行するようになると述べ、「そのためには企業内のシステムやデータ、プロセスがデジタルでつながっていることが不可欠。AIの活用と、それを支えるプラットフォームの導入は、企業価値向上に向けた第一歩だ」とした。