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中国が進める「NVIDIAの1000倍高速」戦略 アナログ技術でAI覇権に挑む
2025年12月8日 11:44
AI覇権を狙う中国から注目すべき技術が相次いで登場している。時代遅れと考えられてきたアナログコンピューティングを活用し、デジタル処理とは異なる手段で先端AIを訓練するアプローチだ。その特徴は電力効率と演算速度の両立。NVIDIAの最先端GPU不要で米国に対抗する中国の戦略を表している。
GPUを“分割”して効率30%向上
中国Huaweiは11月21日、AIチップの利用効率を高めるフレームワーク「Flex:ai」を発表した。単一のGPUを複数の仮想的な演算ユニットに分割して別々のプロセスに割り当てるソフトウェアだ。複数の中規模モデルや軽量タスクを並列に処理でき、リソースは動的に最適化される。新華社通信によると、「平均的な計算リソース利用率を30%向上させられる」という。
Flex:aiの基盤は、コンテナオーケストレーションシステムのKubernetesだ。AIタスクに特化したスマートなスケジューリングとリソース管理を提供する。またGPUだけでなく、Huaweiの「Ascend」シリーズNPUにも対応している。Huaweiは、ModelEngine開発者コミュニティを通じてオープンソースで公開するとしている。
Huaweiの情報に特化したニュースサイトHuawei Centralは、Flex:aiについて、「中国がNVIDIAチップより1000倍高速なアナログAIチップを開発する助けとなる」と伝えている。
この「NVIDIAより1000倍高速」という言葉は、Huaweiの発表の前月のニュースにも登場していた。10月、北京大学人工智能研究院のチームが「抵抗性ランダムアクセスメモリ」(RRAM)を組み込んで、複雑な計算を高速・高効率に行うアナログコンピューターチップを開発したと発表した。
South China Morning Postによると、このアナログチップは将来、「NVIDIA H100 GPU」など最先端デジタルプロセッサの1000倍の速度で、しかも100分の1の電力で動作する可能性があるという。