ニュース

IBMとSalesforce、IBM ZのデータをAIエージェントで活用するための連携などを発表

 米IBMと米Salesforceは現地時間6日、ミッションクリティカルなデータをエージェント型AIの触媒として活用するため、IBM ZメインフレームとDb2データベース内のビジネスデータへのアクセスを提供すると発表した。これにより、自律型AIエージェントによってチームを強化するデジタルレイバープラットフォームである、SalesforceのAgentforceプラットフォーム上でAIのユースケースを拡充できるようになるとしている。

 また、IBMの年次イベント「Think」では、Salesforceのテクノロジーと連携したIBM watsonx Orchestrateで構築された新たなIBMエージェントと、IBM Graniteモデルのパフォーマンスを紹介した。

 6月に提供開始予定のこの統合により、AIエージェントはIBM Zメインフレームのデータを使用して、バックオフィスとフロントオフィスへの接続を完了できるようになると説明。これにより、IBM watsonx.dataとSalesforceのData Cloudとの統合を通じて、ゼロコピーを活用し、データの移動やコピーをすることなく高速データ転送を可能にするとしている。

 IBMは、アナリティクスとAIを用途として、IBM ZとData Cloud間のデータフローをSalesforceのユーザーに提供する初の企業になると説明。これは、特に銀行や金融サービスなど、規制の厳しい業界にとって大きな影響を及ぼすものであり、企業や企業が導入したエージェントがイノベーションを創出する新たな機会になるとしている。

 IBMとSalesforceは、watsonx OrchestrateとAgentforceの機能を統合した、事前構築済みのセールスエージェント群の開発でも協業している。セールスエージェントの第一弾は、IBM watsonx Sales Prospecting(見込み顧客)エージェントで、営業担当者が効果的に見込み顧客を開拓し、販売転換率を高められるよう、製品ターゲティングや顧客連絡先の取得、営業トークの作成を支援する。対話型インターフェイスを使用し、Agentforceやwatsonx Orchestrate、サードパーティのエージェント間で自律的に相互作用します。このサービスは、数ヶ月以内にwatsonx OrchestrateおよびSalesforceのAgentExchangeを通じて提供される予定。

 また、IBM watsonx Employee Support AgentをSlackに導入することで、人事業務の生産性を向上させると発表。watsonx Orchestrateで構築されたIBM watsonx Employee Support Agentは、Slackの対話型インターフェイスを通じて、人事に関する問い合わせへの回答や、対応策を講じられる。

 IBMは、過去3年間に自社の人事向けエージェントで培ったノウハウを活用しており、これにより、IBMの社員は、全社的なよくある人事関連の質問への回答の94%を人事向けエージェントから得るようになり、人事担当者はより複雑な問い合わせの対応に集中できるようになったという。IBM watsonx Employee Support Agentは、6月にSlack Marketplaceで利用可能になる予定。

 さらに、より小規模で、目的に特化したLLMを選択肢したい顧客には、ビジネス向けに構築されたIBMの主力AIモデルファミリーであるIBM Graniteモデルが、Salesforce Platform上でBring Your Own Model(企業がさまざまな種類のAIを作成してSalesforceで使用できるようにする機能)として提供され、Agentforceから簡単にアクセスできる。

 このように小規模かつ企業向けに特化したAIモデルは、テストにおいて優れた成果をあげていると説明。Granite 3.1 8Bモデルは、ビジネスアプリケーション向けの生成AIモデルの有効性を評価する、CRM用LLMベンチマーク「Salesforce LLM Benchmark for CRM」で、高い精度が評価されたという。

 IBM Consultingは、企業が複雑なCRMやAI環境に対応するために、Salesforceへの投資からより大きな価値を得られるよう支援する。Agentforceやwatsonx、IBM Consultingの深い専門知識を活用することで、グローバル規模でSalesforceを活用した変革を推進する。AIを活用したデリバリープラットフォームであるIBM Consulting Advantageには、Salesforce固有のナレッジベースで学習し、独自のモデルによって強化されたSalesforceに特化したAIエージェントが含まれており、IBMのコンサルタントがより大きな価値を迅速に提供できるよう支援する。これらの機能により、エージェントエコシステムをオーケストレーションし、長期的なプラットフォームの拡張性、サポート性、所有コストの削減を推進できるとしている。