週刊海外テックWatch

あなたが死んでもSNSは動き続ける Metaの「故人シミュレーション」特許が示す未来
2026年2月24日 11:19
「亡くなったユーザーに代わって、SNSに自動投稿する」。こんなシステムの特許をMetaが取得したことが分かった。故人の言葉遣いや人間関係まで学習して、あたかも生きているように振る舞い続けるボットだ。こうした「デジタル不死(digital immortality)」と呼ばれる分野が実用化、商用化の段階に入っている。ソーシャルメディアの巨人は、何をしようとしているのだろう――。
ユーザーの死後も自動投稿するシステム
「愛する人を亡くして悲しんでいる人にとって、交流や特定の記憶の再現の手段が役立つことがあるだろう」。2023年、Lex Fridman氏のポッドキャストに出演したMetaの創業者兼CEO、Mark Zuckerberg氏はこう語っていた。
それから2年、Metaはひっそりと、その言葉を現実にする特許を取得していた。2月12日付のBusiness Insiderが報じた「言語モデルを用いたSNSのユーザーシミュレーション」だ。
公開された文書(US-12513102-B2)によると、システムは、特定のユーザーが「長期間不在の場合」や「死亡した場合」に、そのユーザーに代わって自動的に投稿や反応を行うことを可能にする。
その仕組みは「学習」と「実行」の2段階からなり、まず汎用の大規模言語モデルに特定のユーザーのデータを追加学習(ファインチューニング)させ、そのユーザー特有の振る舞いや文体を再現する。
実行(シミュレーション)では、ニュースフィードなどを監視してターゲットユーザーに関連するコンテンツ(友人の投稿、ニュース記事、画像など)を検出し、コメントの生成や「いいね」など、ユーザーがしそうな反応を出力する。
「ユーザーの性格や人間関係のコンテキストを考慮しながら、新しいコンテンツにリアルタイムに反応する」。つまり、そこに存在しない人格が、あたかもいるかのように反応するものだ。
出願は2023年で、2025年12月30日に特許が認められた。代表者としてMetaのCTO(最高技術責任者)であるAndrew Bosworth氏の名が記されている。同氏はVR/AR部門の責任者からCTOに昇格し、Metaの次世代プラットフォーム戦略を推進した人物だ。
文書は特許が必要とされる背景をこう説明している。「ユーザーが死亡し、二度とソーシャルネットワーキングプラットフォームに戻れない場合、そのユーザーへの影響は深刻で永続的なものとなる」