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企業向け「AIエージェント」活発に IBMの「Think2025」

 「AIエージェント」関連のサービスが次々に登場している。「AIエージェント元年」とも呼ばれる2025年は、この新しい技術への企業の対応が業界の焦点であり、提供するテクノロジー企業にとってもビジネスの正念場となる。今年の大手テックの開発者向けイベントの先頭を切ってIBMの「Think2025」が開催された。もちろん主役は「エージェント」だ。

「ITインフラの断片化」

 IBMは5月6日、米ボストンで開幕した開発者向け年次イベントThink 2025で、AIエージェントを企業で利用するための4つの主力ソリューションを発表した。

 中心となるオーケストレーションツール「watsonx Orchestrate」は、複数のエージェントを連携させて複雑なワークフローにAIを組み込むものだ。150以上の構築済みエージェント、80以上のエンタープライズアプリケーションとの統合が可能で、「5分以内に業務エージェントを立ち上げられる」という。

 また、エージェントを活用して自動化するiPaaSの「webMethods Hybrid Integration」や、非構造データをAIアプリケーションで活用するデータレイクハウスの「watsonx.data」を今年上半期にリリースする。そして、本家であるメインフレームでは、1日最大4500億回のAI推論を処理できる「LinuxONE 5」を第4四半期に投入する。

 基調講演でIBMのCEO、Arvind Krishna氏は「AIは生産性のエンジンであり、データの価値を解き放つ鍵だ」と強調した。

 また第二基調講演では、ソフトウェア担当シニアバイスプレジデントのRob Thomas氏が、「企業のAI投資は加速しているが、期待するROI(投資利益率)を得られているのはわずか25%にとどまる」と述べた。その理由は「アプリケーションのサイロ化」「ハイブリッド環境の複雑さ」などで、これを「ITインフラの断片化」(fragmentation)と呼んでいる。

 この断片化をAIエージェントで解消していくのがIBMの戦略だ。これまで展開してきたハイブリッド環境のサポートの上にAIエージェントを展開し、導入・活用のためのコンサルティングを業界別に提供してゆくという。