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企業向け「AIエージェント」活発に IBMの「Think2025」
2025年5月12日 11:15
マルチエージェントの開発基盤
AIエージェントは、小さなタスクを処理するツールからマルチエージェント化の段階に進み、複雑な業務をこなすシステムへと進化を続けている。
マルチエージェント活用の布石となったのは、昨年11月にAnthropicがリリースした「Model Context Protocol(MCP)」だ。AIエージェントが外部のコンテキストを理解しながら他のアプリケーションやサービスと連携することを可能にするプロトコルで、開発の世界で急拡大し、エコシステムができつつある。
企業システムではRAG(Retrieval Augmented Generation)の活用が広がっているが、RAGにはセッションごとに記憶がリセットされる弱みがある。これに対しMCPのシステムは、ユーザーごとの履歴を保持可能で、パーソナライズしやすい。なにより柔軟に構成できるという特徴がある。
MCPには、3月にOpenAIが開発環境で対応したほか、Microsoft、Google、Cloudflareなどが次々にサポートを表明し、既に業界標準となりつつある。
さらにGoogleは、「MCPを補完するオープン プロトコル」として、「Agent2Agent」(A2A)と呼ぶエージェント通信プロトコルを発表した。AIエージェント同士がコミュニケーションをとりながら連携して動作することを目指すもので、Atlassian、Box、Langchain、Salesforceなど50以上のテクノロジーパートナーと主要サービスプロバイダーが参加している。Googleは「複雑な企業ワークフローを自動化して、効率性と革新をもたらす未来像を示す」とアピールしている。
IBMも今回、Watsonx Orchestrateの新しいエージェント開発キット(ADK)でMCPとA2Aをサポートすることを表明。「AIエージェントを数千もの既存ツールと容易に統合できるようにする」としている。