ニュース

ソニー銀行、富士通のソリューションとAWSを活用したクラウドネイティブな新勘定系システムを稼働

 富士通株式会社は7日、同社の勘定系ソリューション「Fujitsu Core Banking xBank」を採用した、ソニー銀行株式会社の新勘定系システム(以下、次世代デジタルバンキングシステム)が、6日に稼働を開始したと発表した。

 次世代デジタルバンキングシステムは、Fujitsu Core Banking xBankおよび富士通の技術と、Amazon Web Services(AWS)の240を超えるサービス群を活用して、AWS上に構築したクラウドネイティブなシステム。AWSのフルマネージドなコンテナオーケストレーションサービス「Amazon Elastic Container Service(Amazon ECS)」や、コンテナ向けサーバーレスコンピューティングサービスである「AWS Fargate」を活用し、オンプレミスからの単純移行ではなく、クラウドネイティブなアーキテクチャで設計されている。

 ソニー銀行の豊富な商品やサービスを支える大規模な勘定系システムを、信頼性を担保しつつ柔軟性や俊敏性を備えたシステムへと刷新するために、クラウドネイティブなアプリケーション構造、勘定系システムに最適化したマイクロサービスアーキテクチャ、外部サービスなどとの連携を容易にする柔軟なアーキテクチャといった特徴を備える。

次世代デジタルバンキングシステムの全体像

 次世代デジタルバンキングシステムは、クラウド上で動くことを前提に設計・構築しており、スケーラビリティ、マイクロサービス、BFF(Backend for Frontend)など、クラウドの特性を最大限に活用することを可能にする。これにより、常にビジネス環境の変化に合わせた最適なシステムリソースを活用でき、ビジネスアジリティの向上に寄与する。

 また、マイクロサービスは、通常、非同期処理を基本とする一方、勘定系システムでは連続性を必要とするサービスが多いことから、トランザクションの信頼性と整合性を保証するために不可欠なACID特性の適用が不可欠なため、その実装方法に課題があったと説明。そのため、次世代デジタルバンキングシステムでは、例えば普通預金から定期預金への振替における資金移動のように、データの一貫性保証が必要な処理を見極め、必要な箇所で同期性を担保する、富士通独自の実装方法を適用した。これにより、勘定系システムにおけるマイクロサービスアーキテクチャ適用のデメリットを克服しながら、勘定系業務アプリケーションのプログラム資産規模を従来の40%に削減しており、プログラム資産規模の縮小により、保守や追加開発の効率化が期待できるとしている。

 外部サービスなどとの連携については、ビジネス戦略や成長に合わせた柔軟な拡張性を実現するために、BFFや外部APIを活用した構成を採用した。これにより、フロントチャネルの追加や外部接続先の追加を容易にしている。

 ソニー銀行は、ビジネスアジリティの最大化を目指し、開発生産性の向上や業務効率化の推進、データ基盤の整備を実現するために、勘定系システムを従来のシステムから完全に刷新した。これによりアライアンス推進を柔軟にし、顧客利便性の向上および、より安価かつタイムリーな商品・サービスの提供が可能になると説明。また、今回の移行により先行してクラウド化を進めてきた周辺システムと合わせて、勘定系を含めたほぼすべてのシステムのクラウド化が実現したという。