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静岡銀行と日立、AWS上で稼働する勘定系システム構築を開始

 株式会社静岡銀行と株式会社日立製作所(以下、日立)は9日、パブリッククラウド上で稼働する勘定系システムの開発に向けた技術検証と効果検証を完了し、システム構築を開始したと発表した。

 システムは、静岡銀行と日立が共同開発したオープン勘定系システムが、2027年中にAmazon Web Services(AWS)上で本番稼働することを予定している。これにより、静岡銀行では、クラウドファーストの推進により、一層付加価値の高い金融サービスの迅速な提供、業務継続体制の強化を図るとともに、消費電力の削減を通じて脱炭素社会の実現にもつなげるとしている。

 あわせて日立は、オープン勘定系パッケージ「OpenStage」をはじめとしたオープン勘定系システムなどにシステムを適用し、その他金融機関に展開することにより、金融機関のDX推進に貢献していくとしている。

 静岡銀行では、2023年12月からグループの全システムを対象にパブリッククラウド化を最優先に検討する「クラウドファースト」への取り組みを開始している。これにより、クラウドにおける先進的な技術を活用しながら、エンドユーザーのニーズに一層迅速に対応するとともに、付加価値の高い金融サービスをより安定的に提供できる金融インフラの構築を目指す。

 日立は、AWSとの長年にわたるパートナーシップと、社会インフラ企業のミッションクリティカルなシステム移行を含めた多様な実績により、顧客や社会への価値提供に取り組んでいる。また、2024年3月には、AWSと顧客企業のシステムモダナイゼーションとクラウド移行の推進を目的とした戦略的協業契約を締結している。

 こうした中、静岡銀行、日立、AWSの3社で進めていた、オープン勘定系システムのパブリッククラウド化に向けた技術検証と効果検証が完了し、実現性が担保できたことから、正式にシステム構築を開始した。

 システムでは、2021年に稼働したオープン勘定系システムをAWS上へ移行して、パブリッククラウド上で稼働させる。静岡銀行と日立が共同開発したオープン勘定系システムは、OpenStageとしてパッケージ化されて他の金融機関にも導入が進んでおり、機能拡張が容易なオープン化による先進技術を採用するとともに、アプリケーション構造を刷新したことで、高い開発生産性とスピード、最新デジタルとの親和性および柔軟性を実現する。

 今回、システムをAWS上へ移行させることで、オペレーショナル・レジリエンスの面では、データセンター障害時や災害時における業務継続力の向上や、バックアップセンター切り替え時におけるロストデータ、切り替え時間の大幅改善が期待できると説明。セキュリティ面では、データセンター安全対策、ウイルス対策、ランサムウェア対策など、クラウド先進技術の活用が期待できるとしている。

 また、カーボンニュートラルとしてGHG排出量の削減、拡張性・持続可能性では必要に応じた機動的な機器リソースの追加、安定的なハードウェアの調達、運用省力化では保守・運用作業の削減、コストではオンプレミス比でのコスト削減が期待できるとしている。

 静岡銀行は今後、クラウドファーストの取り組みを進めることで、引き続き付加価値の高い商品・サービスの迅速な提供を推進するとともに、将来的にデータセンターレスを目指すことで、消費電力の削減を図るなど、地域における脱炭素社会の実現にもつなげいくと説明。日立は、OpenStageをはじめとしたオープン勘定系システムなどへの適用を目指し、その他金融機関に展開することで、金融機関のDXを支援するとしている。