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IIJと河村電器産業、AI用サーバーも収容可能なモジュール型エッジデータセンターを共同開発

 株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)と河村電器産業株式会社は11日、生成AI用のGPU搭載サーバーに対応できる、モジュール型エッジデータセンターを共同で開発したと発表した。

 IIJでは、AI需要の高まりに伴い、生成AI用のGPU搭載サーバーをはじめ、大規模な消費電力のデータセンターの需要が急増しているが、既存製品では設備能力の不足や新規建設にコストや時間がかかるといった課題があると説明。一方で、大量のデータ処理やセキュリティの観点から、現場にサーバー、ストレージを配置・運用するエッジコンピューティングも組み合わせるといった、ハイブリッド利用も浸透しはじめているという。

 こうした背景を受け、短納期で設置可能で柔軟性も高く、消費電力の大きなサーバーに対応可能なモジュール型エッジデータセンターを共同で開発した。

 モジュール型エッジデータセンターは、モジュール筐体に、19インチサーバーラック1架と、サーバー冷却装置、UPS、物理セキュリティなど、データセンターに必要な機能を搭載。ビル型やコンテナ型に比べて短納期かつ低コストで設置できる。

 モジュール筐体は、受電設備に用いられる汎用キュービクルの函体をもとに開発されており、幅120cm、奥行き200cm、高さ230cmと小型で、屋内屋外を問わず設置可能。建築基準法で定められている建築物に該当せず、設置時の建築確認申請は原則として必要ない。

 1モジュールあたり45kWの電力供給と、それに対応したサーバー冷却能力を有しており、生成AI用途のGPU搭載サーバーの導入が可能。複数モジュールの連結、受電設備やUPSなどをモジュール化して組み合わせられ、需要に応じた規模のデータセンター設備に柔軟に拡張できる。

 モジュール型エッジデータセンターのユースケースとしては、AI処理をローカルで行いたい、製造業の生産現場・工場や研究・開発拠点、医療機関などでの活用や、リモート拠点でGPUクラウド事業やシステムを運用したい再エネ事業者、自動運転など低遅延の通信・高度なデータ処理が求められるMEC(Multi-access Edge Computing)、ローカルAIを活用したスマートビル管理、工場自動化やクラウドゲーミングなどを実現したい企業などを挙げている。

 IIJと河村電器産業では、3月18日~19日に開催される展示会「Data Center Japan 2025」の共同ブースで、試作品を展示する。合わせて、新たなエッジデータセンターのPoV(Proof of Value、価値検証)を目的に、実施パートナーを募集する。今後は、実際の運用環境での性能評価と改良、最適化を行い、2025年度下期の製品化を目指す。