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三菱電機とNTT東日本、IOWNを活用したインフラ点検の遠隔解析・遠隔閲覧の実証に成功

 三菱電機株式会社と東日本電信電話株式会社(以下、NTT東日本)は21日、インフラ点検の効率化を目的に、IOWNにおけるオールフォトニクスネットワーク(以下、APN)を活用した、3次元点群データの遠隔解析・遠隔閲覧の実証を2024年10月7日~2025年1月17日に実施し、成功したと発表した。

 実証では、三菱電機の三菱多次元施設・設備管理システム(以下、MDMD)とAPN装置を接続し、三菱インフラモニタリングシステム(以下、MMSD)で取得した点群データの遠隔解析・遠隔閲覧の有効性を確認した。

 安全なインフラ維持の実現に向けて、三菱電機はMMSDやMDMDによるトンネルなどのインフラ点検を支援する計測および解析サービスを提供し、NTT東日本はMMS(レーザースキャナー・カメラを搭載した計測車両が道路を走行しながら、道路周辺の3次元位置情報を高精度で効率的に取得する車両搭載型計測システム)を利用した電柱点検を行うなど、両社は点群データを活用したインフラ維持管理に関する取り組みを進めている。

 しかし、点群データはデータの容量が非常に大きく、一般的なPCなどでは限られた範囲しか解析できないため、高性能な解析マシンを用いて解析する必要がある。また、従来のインターネット回線を利用したデータの送信や遠隔での解析・閲覧などの作業は困難なため、取得した点群データをSSDなどに保存し、高性能な解析マシンが設置されている拠点へ物理的に輸送して解析する必要がある。このため、点群データの取得から解析結果を得るまでにタイムラグが生じ、タイムリーな異常箇所の確認やデータ不備による再計測の対応が迅速に行えないという課題がある。

 この課題に対し、三菱電機とNTT東日本は、APNの「大容量」「低遅延」「ゆらぎゼロ」の特長を生かした、点群データの遠隔解析・遠隔閲覧の実現に向けて実証を行った。

点群データの物理的な輸送による解析・閲覧の構成
実証における遠隔での点群データ解析・閲覧の構成

 実証では、点群データが保存されているPCを設置したNTTe-City Labo内の「IOWN Lab」(調布市)と、解析マシンを設置したNTT東日本初台本社ビル(新宿区)の拠点間を、1波長あたり100GbpsのAPNで接続し、点群データの遠隔解析・遠隔閲覧の実証を行った。

 大容量・低遅延・ゆらぎゼロの特徴を持つAPNを活用し、遠隔からの伝送による点群データの解析・閲覧を検証した結果、点群データと解析マシンが離れていても、ローカル環境と遜色ない速度・品質で解析および閲覧が可能であることが確認できた。

点群データ遠隔ビューア画面

 三菱電機とNTT東日本は、実証で得た知見を基に、点群データの遠隔解析および閲覧における新たな取り組みを進めていく。遠隔で点群データのリアルタイムな解析・閲覧が可能になることで、インフラ管理において、異常を即座に検知し、インフラ設備の補修対応の迅速化、予防保全の効率化に貢献できると説明。また、街づくりでは、都市の3Dモデルをリアルタイムで更新し、交通渋滞の緩和や新しい建造物の影響をシミュレーションすることで、住みやすい都市設計が可能になるとしている。

 今後も両社は協力し、将来的には、IOWN構想における「デジタルツインコンピューティング(DTC)」を支える4Dデジタル基盤を実現し、それによって可能となる高精度3D空間情報の整備における、点群データの効果的かつ効率的な活用を目指すとしている。