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NTT、NTT東西、NECの4社、光ファイバーセンシング機能を付与したIOWN APNで広域での交通流モニタリングを実現

 日本電信電話株式会社(以下、NTT)、東日本電信電話株式会社(以下、NTT東日本)、西日本電信電話株式会社(以下、NTT西日本)、日本電気株式会社(以下、NEC)の4社は30日、IOWN APN(All Photonics Network)に光ファイバーセンシング機能を付与する接続構成を考案したと発表した。

 通信用光ファイバーをセンサーとして活用することが可能な光ファイバーセンシングは、工事振動の検知、道路除雪判断の支援、通信設備保守運用の効率化に関する実証実験や技術導入が進み、新たな社会的価値を創出する技術として期待されている。

 IOWN APNと光ファイバーセンシングを組み合わせることで、IOWN APNによる大量データの高速転送を生かした高度なデータ解析が可能になり、センシングデータの活用を促進できると考えられると説明。さらに、IOWN APNを構成するAPN-Gateway(以下、APN-G)の光パス選択機能を利用することで、一つの光ファイバーセンシング装置でAPN-Gに接続された既設の複数の通信用光ファイバーが測定可能になるとしている。

 4社は、IOWNを利用した光ファイバーセンシングの社会実装に向け、APN-Gを介して光ファイバーセンシングを実施可能にする接続構成を構築し、一般道の広域かつ面的な交通流モニタリングを実施した。光ファイバーセンシングによる交通流モニタリングはこれまでいくつか例が報告されているが、複数の一般道に沿って広域かつ面的にモニタリングした実施例は今回が初めてになるという。

IOWNを利用した広域光ファイバーセンシング

 共同実験では、5台の振動センシング装置をAPN-Gに接続し、既設の通信用光ファイバーケーブル(大阪市内の道路地下に敷設)5ルート(延べ37km、8km四方範囲に配線)に対して、交通振動を面的に同時測定した。この交通振動を車速解析アルゴリズムで解析したところ、一般道の通行車両の平均車速、道路の交通量とその時間変化を、200mメッシュの精細な粒度でリアルタイムに可視化できた。また、車両の速度と台数の解析結果は、5地点で現地測定した正解データと一致する傾向を示すことを確認した。

交通流の広域モニタリング結果

 一般道の交通流計は、主要幹線のみに数km間隔で設置されるため、膨大な数のセンサーの恒久的な設置・運用が必要となるが、APN-Gと連携した光ファイバーセンシングでは、都市の隅々まで張り巡らされた光ファイバールート上の任意地点を柔軟にモニタリングできるため、広域から収集する交通情報を活用した渋滞検知・予測や、都市交通計画への適用など新たな社会基盤としての活用が期待されるとしている。

 4社は今回の成果を踏まえ、今後もIOWN Global Forumでの議論など各社と連携しながら、IOWN APNでの光ファイバーセンシングの市場展開を図っていくと説明。また、IOWN APNの全国展開とともに、光ファイバーさえあればどこでも任意の地点を柔軟にセンシングでき、恒久的なデバイスの屋外設置・構築が不要な、低コスト、広域かつ面的な都市モニタリングの実現を目指すとしている。

 さらに将来的には、インフラ監視、防災などへの活用や都市計画における自然を取り入れたインフラデザインの実現など、都市モニタリングを通じたさまざまな応用展開も見据え、光ファイバーセンシングの社会実装による社会/地域課題解決を目指して研究開発と共創活動を推進するとしている。