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ラクス、楽楽精算にAI機能を搭載し経理担当者の負担軽減へ

 株式会社ラクスは12日、経費精算システム「楽楽精算」にAIを活用した新機能を搭載する計画を発表した。AIを活用した機能によって、第1フェーズとして2026年3月期までに経理担当者のチェック作業が軽減された状態を作ることを目指し、第2フェーズとして2029年3月期までに経理担当者がコア業務に専念できる状態を作ることを目指す。

AI活用 全体ステップ

 AI機能を提供する狙いを、ラクス 執行役員 楽楽クラウド事業本部 本部長の吉岡耕児氏は、「経理担当者がノンコア業務に時間を割かれ、コア業務に充てる時間がない。この問題を解決するために、AIを活用して経費精算業務を効率化することを支援し、企業成長に貢献したい」と説明した。さらに2029年3月の段階で、現状の楽楽精算と比較し、約60%の月間作業時間軽減を実現する見込みだとしている。

 また、企業のバックオフィスDXを支援するために、2025年4月以降、会計ソフトと連携する入金管理領域の新製品を提供開始する予定であることを明らかにした。

株式会社ラクス 執行役員 楽楽クラウド事業本部 本部長の吉岡耕児氏

AI機能によって、経理担当者がコア業務に専念できる状態を創出する

 ラクスでは、労働人口減少が続いている上、依然として紙、Excelなどを活用し経費精算処理業務を行う状態が続いていることから、経理担当者が本来取り組むべきコア業務に取り組めない状態が続いていると指摘する。この状況を変えるために楽楽精算のAI機能開発と導入を本格的に進め、経理担当者がコア業務に専念できる状態実現を目指す。

 「当社は1万8000社の多岐にわたる企業規模、業種の顧客基盤を持ち、AI開発についてもいち早く取り組んできた。今回、AI機能によって、経理担当者がコア業務に専念できる状態を創出する」と、ラクス 執行役員 開発本部 本部長の公手真之氏は目指す方向を説明する。

株式会社ラクス 執行役員 開発本部本部長の公手真之氏

 第1フェーズでは、使用頻度が高く利用ユーザー数が多い、経費申請者・承認者向け機能からAI活用を実現する。経理担当者の負担を軽減する機能を段階的に提供していく計画で、まず2025年9月を目標に、AIを活用した新機能の第1弾として、勘定科目の入力補助機能を提供する。

 「勘定科目は会計のルール、企業それぞれのルールで分類が異なり、申請者にとってはなじみのない分野であり、間違いや勘違いも多く、申請されたものが差し戻されるケースも多い。AIを活用することで誤りや勘違い軽減を行い、差し戻しになる件数を減らし、経理担当者の負担削減を目指す」(公手本部長)。

勘定科目とは

 提供予定の勘定科目のAI入力補助機能では、申請者は領収書をスマートフォンで撮影するか、請求書のPDFファイルをシステムにアップロードする。アップロードしたデータに対し、AI入力補助機能が過去の履歴をもとに、勘定科目の入力を補助する。それを経理部門に経費申請することで、勘定科目の申請ミスが減り、経費処理に関する作業負担が軽減する仕組みだ。

 「勘定科目のAI入力補助機能によって、経理担当者は差し戻し件数が軽減し、チェック業務負担が大幅に軽減する世界実現を目指す」(公手本部長)。

勘定科目のAI入力補助機能とは

 2024年10月から実証実験を開始し、2025年9月には実装することを目指している。さらに、AI機能による経理担当者の業務負担削減を目指し、2024年時点で月間149時間かかっていた1社あたりの経費申請から承認までの作業時間を、2029年3月期には、約60%減となる59時間へと削減する見込みだ。

 「1万8000社への導入実績により、圧倒的な経理業務の知見を持っていることが当社の大きな強み。他社よりも専門性の高いAI機能を提供することができる」(公手本部長)。

「楽楽精算」「楽楽シリーズ」AI機能開発スケジュール
AI機能導入により想定される効果

 なお、今後は楽楽精算以外の楽楽シリーズについてもAI機能を開発することを計画しており、バックオフィスのDXをさらに推進していく。

 「楽楽シリーズの個々のサービスの機能強化をさらに続けていく。それに加え、バックオフィス領域における展開領域の幅を拡張することも計画している。2025年4月以降になるが、入金管理領域を効率化する新サービスの提供開始予定にしている。もちろん、ほかの楽楽シリーズ、さらに他社の会計システムとの連携実現も予定しており、バックオフィス業務のさらなる効率化を実現することができる。当社はバックオフィスのDXを包括的に支援していくサービスを提供し、業界をリードする存在を目指し続けていきたい」(吉岡本部長)。

幅広い領域で、バックオフィスDXを包括的に支援