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カオナビの調査で“予算管理意識の高い中間管理者ほど売上達成する割合が高い”ことが明らかに
2024年12月5日 11:53
株式会カオナビは3日、2024年4月から提供している予実管理システム「ヨジツティクス」のメインターゲットである、企業のミドルマネージャーを対象とした調査結果を発表した。
それによると、ミドルマネージャーの76.7%が「予算管理に課題を感じている」と回答。その一方で、予算管理意識の高いミドルマネージャーほど、売上達成する割合が高いという結果となった。予実管理に利用するツールにExcelなど表計算を利用している人の割合が6割と高いものの、「ほかに手段がなかったために利用している」という声が多かったという。
カオナビが予実管理システムを提供した理由は?
カオナビでは、タレントマネジメントシステム「kaonavi(カオナビ)」を提供する中で、「利用企業の人事担当者から、予算を考える作業をサポートするようなシステムはないのか?という声が多かったことが、ヨジツティクス開発のきっかけとなった。当社は、人に関する人材データをそろえる『データプラットフォーム構想』を発表しているが、そこに新たにお金周りのシステムをプラスすることになった。経営管理分野である、予実管理についてもDXの必要性がある分野だと感じている」と、執行役員で最高プロダクト責任者の平松達矢氏は説明する。
人事部門との連携が多かった中で誕生した予実管理システム「ヨジツティクス」は、予実管理システムの定番である財務・非財務などの経営データを管理し、予算策定、見込み管理、実績管理、事業部や部門など柔軟な集計と分析を行う機能を持っている。
連携可能なシステムとしては、自社のkaonaviのほか、会計システムとしてマネーフォワードの「マネーフォワード クラウド会計」、OBCの「勘定奉行クラウド」などがあるという。
さらに、予実管理に関わることが多い経理や財務部門といった経営企画に携わる部門や経営陣だけでなく、現場部門のマネージャーを巻き込んだ予実管理機能を持っていることが特徴となっている。
「現場部門のマネージャーを巻き込むことで、予算策定、実績管理、人員計画など現場部門が経営視点で考えられるようになることが、企業にとっても大きなメリットをもたらすと感じている」と、ヨジツティクス事業室の室長である菅原拓弥氏はアピールする。
- 初出時、キャプションの菅原拓弥氏のお名前を誤って掲出しておりました。お詫びして訂正いたします。
また、人的資本投資と企業価値因果性をデータで示すなど、人的資本投資と企業価値の因果性を示せることも特徴となっている。「カオナビ事業を展開する中で、人材育成などに投資しているお客さまから、どう成果が出ているのか、結果が見たいという声が上がった。そこでヨジツティクスでは、従業員あたりの売上・利益、人的資本ROIなどのデータ、kaonaviの評価、スキル管理などのデータを連動することで、人的資本情報と人材の見える化を実現した」(菅原室長)。
リリース前は中堅企業から従業員500人以上の大企業の導入を想定していたが、「実績では、中堅以下の企業でも導入例が予想以上に多かった。また、kaonaviユーザーは7割~8割で、kaonaviと切り離して評価いただいているケースも予想以上に多い」(菅原室長)という。
予実管理に関するアンケート調査結果
こうした実態を受け、カオナビではWebアンケート形式で、予実管理に関するアンケート調査を行った。課長、部長など中間管理職であるミドルマネージャー150人、経営層150人が回答した。
その結果、ミドルマネージャー層は「予実管理に課題を感じていますか?」という質問に対し、やや感じているが54%、非常に感じているが22.7%と約8割が予実管理に課題を感じていることが明らかになった。
課題を感じている内容としては、「予算策定や見込み精度」が39.3%と最も高く、次いで「データ収集や入力業務の手間」で33.3%、「データ分析に関するスキルや知識の不足」が29.3%で続く。
予実管理について得意かどうか聞いたところ、「非常に得意」が16%、「やや得意」が47.3%となった。この結果について、売上目標の達成具合でクロス集計したところ、予実管理が得意と答えているミドルマネージャーの方が売上目標の達成度合いが高いという結果となった。
予実管理でどんなシステムを利用しているのか聞いたところ、表計算ソフトが63.3%と最も多く、次がクラウドツールで24%、自社開発ツール・その他が12.7%となった。この結果と、「どれくらいマネジメント業務を行えているのか?」という質問に対する回答とをクロス集計したところ、自社開発ツール・その他を利用している人が最もマネジメント業務に時間を割けていることが明らかになった。
「表計算を利用し、予実管理を行うと作業工数がかかり、マネジメント業務にかける時間が短くなる傾向にあるようだ」と菅原室長は分析する。
経営層に行った調査では、「ミドルマネージャーに予実管理意識は必要か?」と質問したところ、「非常に感じる」が46.7%、「やや感じる」が48%と、予実管理意識を持つことが必要と感じる経営層が、圧倒的に多いという結果となった。
「予実管理を行うことで、現場の数値・データに対する意識が高まると感じるか?」という質問に対しても、「非常に感じる」が30%、「やや感じる」が58%という結果となった。
「予実管理は部門単位で行われることが多いが、現場を担当するミドルマネージャーという人にフォーカスし、予実管理を行うことで、数値、データに対する意識が高まることになると経営層も考えているのではないか」(菅原室長)。
こうした調査結果、また、導入ユーザーからの声を受けて、今後ヨジツティクスには、緻密な人件費、要員計画に対応する機能、財務データと非財務データを組み合わせて分析を可能とする機能、部門やエリア、取引先、商品などさまざまな軸を設定できる多軸分析機能などを搭載する計画としている。