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リコーが東芝テックとの合弁会社「エトリア」の進捗状況に言及、シナジーの早期実現を目指して施策を開始

リコーの第1四半期連結業績は増収減益に

 リコーは、2024年7月1日に設立した東芝テックとの合弁会社である「エトリア」の進捗状況について言及。リコー 取締役 CFOの川口俊氏は、「シナジーの早期実現を目指し、さまざまな施策を開始している。競争力の高い商品を提供していく」とコメント。リコー リコーデジタルプロダクツビジネスユニットプレジデント兼エトリア 代表取締役社長執行役員の中田克典氏は、「スタートしたばかりの段階だが、すでに、東芝テック向けの売り上げ計上に加えて、共同購買による原価低減への取り組みを進めている。年末に向けて、新たに作った製品をモディファイをして、リコーおよび東芝のブランドで販売することを計画している」と語った。

リコー 取締役 CFOの川口俊氏
リコー リコーデジタルプロダクツビジネスユニット プレジデント兼エトリア 代表取締役社長執行役員の中田克典氏

 リコーの第1四半期連結業績発表のなかで触れたもので、エトリアの設立にあわせて、一時費用とし20億円を計上し、リコーでは、40億円超の構造改革効果を目指していることにも言及した。

エトリアの設立による効果としては40億円超を見込む

 また、エトリアの中田社長は、「生産最適化にも取り組んでいる。一昨年から進めてきたリコーのOEMビジネスが立ち上がっており、エトリアが保有している工場の稼働率を高める必要がある。だが、MFP市場全体は縮小傾向にあり、エトリア以外の管轄である中国・福州のMFP関連工場を閉鎖し、ここで生産していたものを、2024年中に、エトリアのマレーシア、タイ、中国の工場に分散させて生産することになる」とした。エトリアの生産体制の最適化は、まずは強化する方向で進める考えを示した。

 エトリアは、共通エンジンの開発を進めるほか、MFPやプリンタの基幹部分の共通化や、部品や材料の共同購買、生産拠点の相互活用を進め、競争力の高い製品を、安定的に供給する体制を構築し、モノづくり体質を強化。2025年度(2025年4月~2026年3月)には売上高4000億円強を計画。営業利益率は5%の維持を目指している。

企業価値向上プロジェクトの進捗状況

 また、リコーの「企業価値向上プロジェクト」の進捗状況についても説明した。

 同プロジェクトでは、2025年度までに、2023年度比で600億円超の収益構造変革効果を創出することを発表しており、そのうち2024年度には140億円強の効果と、100億円の一時費用を想定。2024年度第1四半期には、販売・サービス体制見直しの施策費用を計上している。

 今回の説明では、600億円超の効果のうち、約200億円については、現時点では内訳が示されていないことについて説明。「この部分は、まだ示すことができない。それぞれの項目において、想定効果額については『超』を目指しており、この数字以上のことをやろうと考えている。今後、『超』の部分が具体的な数字になって表れてくる」と述べた。

 本社改革では、R&D適正化で300億円超、間接機能の適正化で20億円超としたほか、事業の選択と集中で20億円超、オフィスプリンティング事業の構造改革では東芝テックとのジョイントベンチャーで40億円超、SCMの最適化で30億円超、オフィスサービスの利益成長の加速による販売・サービス体制の見直しで100億円超の効果を想定している。

 「販売・サービス体制の見直しは、第1四半期からグルーブ各社の一部において、構造改革を実施している。現時点では効果額は100億円超、一時費用は80億円としているが、追加施策を準備している」という。

 なお、本社改革の取り組みのひとつであるR&Dの適正化については、2025年度までに、300億円超の効果を想定しており、「これはキャッシュベースの削減額であり、損益計算書への影響額は半分程度」とした。

企業価値向上プロジェクト 効果額・一時費用

第1四半期の連結業績は増収減益に

 リコーが発表した2024年度第1四半期(2024年4月~6月)の連結業績は、売上高は前年同期比7.4%増の5743億円、営業利益が同37.7%減の63億円、税引前利益は同26.2%減の98億円、当期純利益は同11.3%減の77億円となった。

連結損益計算書

 リコーの川口CFOは、「増収減益の結果となり、社内計画並の実績となっている。企業価値向上プロジェクトの費用を除くと、前年並の実績である。オフィスプリンティングでは2024年5月以降、コンテナ不足や船舶輸送の遅れにより、リードタイムが長期化し、MFPの納入遅れが影響している。その結果、販売ミックスによる利益は、想定に対して未達になっている」とした。

 セグメント別では、リコーデジタルサービスは、売上高が前年同期比5.3%増の4500億円、営業利益は前年同期から80億円減の8億円。そのうち、日本におけるオフィスサービスの売上高が前年同期比8.2%増の894億円となった。「PCのリプレース案件が増加。スクラムシリーズも好調である」としている。中でも、RICOH kintone plusのライセンス売り上げは前年同期比5倍と大幅に伸長している。

リコーデジタルサービスの概況

 リコーデジタルプロダクツは、売上高が前年同期比4.5%増の1220億円、営業利益は36億円増の46億円。「MFPの生産量の回復、製品ミックスの影響改善により増益になった」という。

リコーデジタルプロダクツの概況

 リコーグラフィックコミュニケーションズは、売上高が前年同期比22.2%増の691億円、営業利益は23億円増の50億円。商用印刷機は全地域で増収とったほか、ドイツで5月に開催された世界最大の国際印刷・メディア産業展「drupa2024」において、高速インクジェット印刷機や、戦略機種であるRICOH Pro C7500/9500シリーズなどで、200台以上の受注獲得を含む多くの案件を創出した成果があったという。また、産業印刷機では、インクジェットヘッドが大幅な増収で、引き続き、中国での販売が好調だとした。

 リコーインダストリアルソリューションズは、売上高が前年同期比14.5%増の268億円、営業利益は前年度のマイナス12億円の赤字から8億円改善したが、マイナス3億円の赤字が残った。

 なお、2024年度(2024年4月~2025年3月)通期業績見通しは据え置き、売上高が前年比6.4%増の2兆5000億円、営業利益が同12.9%増の700億円、税引前利益が同7.0%増の730億円、当期純利益が同8.7%増の480億円としている。

通期業績見通し