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大塚商会、2025年12月期中間決算は22%増の6951億円 通期も上方修正へ

 大塚商会は1日、2025年12月期中間決算(2025年1月~6月)を発表した。連結売上高は、前年同期比22%増の6951億3200万円、営業利益は同26.6%増の491億7300万円、経常利益は同25.7%増の500億9900万円、親会社株主に帰属する中間純利益は、同26.7%増の341億2700万円となった。

2025年1~6月 業績の概況

 売上高、営業利益、経常利益、中間純利益ともに前年同期比で20%超えの増加となっており、代表取締役社長の大塚裕司氏は、「連結・単体とも計画はクリアし、それぞれ(前年同期比)20%を超えるような数字が出ている。上期としては3年連続で過去最高を更新した。企業のIT投資は非常に底堅いと見ている」と好調な業績をアピールした。

代表取締役社長の大塚裕司氏

 これを受け通期見通しを上方修正し、売上高を前回発表予想よりも480億円増となる1兆2610億円、営業利益を39億円増とする。「通期見通しについては、上期の上乗せ分を加えて上方修正する。(EOS需要などを受け)上期は頑張ってきたが、夏場以降、中堅中小企業の特需がいよいよ始まる。サポートも含め、保守等々につながるビジネスへ寄せながら、来季以降も安定して伸びることができるよう進めていきたい」と、大塚社長は下期業績についても強気な見方を示した。

 連結セグメント別売上高は、システムインテグレーション事業が前年同期比27.8%増の4901億100万円、サービス&サポート事業が同10.1%増の2050億3000万円。「SI事業ならびにサービス&サポート事業は、それぞれ2桁成長している。特にSIは3年連続で2桁増という数字になった。詳細セグメント別売上高についても、全項目増加となった」。

【連結】セグメント別売上高

 売上高・経常利益の四半期推移は、売上高は13四半期連続で増収、4四半期連続の前年同期比2桁増となった。「非常に強い形で数字を実現することができた。また、売上高の第2四半期の伸び方は、前年比765億円と、四半期としては過去最大の増加額になっている。経常利益についても、売り上げ同様、13四半期連続のプラス、そして5四半期2桁増ということで、大きな数字が出ている。売上高・利益の4~6月の推移については、連結・単体とも増収増益、全項目前年同期比20%を上回る数字となった。4~6月期の5年間の比較で見ても、今期は特に大きく伸びていることがわかる」という。

 詳細セグメント別売上高は、全セグメントが順調に伸びているが、大塚社長は「地味ではあるが、保守等が少しずつ成長している。リニアに着実に成長している」と訴えた。

【単体】詳細セグメント別売上高

 正社員数は前年比346人増となったが、「実は社内の定年制度の見直しを行った。62歳で定年を選ぶこともできるが、本人の希望があれば65歳まで延長できる。従来は嘱託のような形で定年延長となっていたが、今年の4月から定年制は62歳から65歳、どちらを選択しても構わない。その関係で実は151人が定年後嘱託になり、65歳定年までまだ間があるということで、逆に社員に復帰したケースもある。それが今回の人員増加の要因となっている」。

【連結】正社員の職種別人員構成

 重点戦略事業の状況は、たのめーるが前年同期比7.6%増の1117億3100万円、SMILEが同0.1%減の82億9700万円、ドキュメントソリューション「ODS」が同6.9%増の353億9000万円、セキュリティソリューション「OSM」が同23.6%増の813億2700万円。ハードウェアは、複写機が同6%増の2万2124台、サーバーが同3.5%減の9848台、パソコンは同45.5%増の98万7043台、タブレットなどクライアント端末合計では同43.9%増の103万2093台。

 「Windows 10のEOSが迫っていることもあって、パソコンとクライアント端末が高い数字が出ている。また、複写機は過去のものというレポートも出ていたが、意外としぶとい」と述べた。

 複写機の販売台数四半期推移では、「JAITAのデータはまだ出ていないが、当社は2桁伸長を第2四半期で実現し、おそらく業界平均以上の成績となっているのではないかと思っている」と好調さをアピールした。

 クライアント端末については、GIGAスクール需要でAndroidタブレットも多数出荷していることから、「クライアント販売台数四半期推移」を公表している。

 「クライアントというカウントになると、どのOSも入ってくるので、これからはクライアント表記する。前回のGIGA含めた数字の比較も、今後は同じ基準で公表していく。1~6月で103万台となり、年間200万台販売が見えてきたかなと思っている。今後も需要をしっかりとつかんでいきたい」としている。

【単体】重点戦略事業の状況

 ストックビジネスの推移は、上半期は1921億円で、ストックビジネス比率は31.1%となっているが、「これは特需でトップラインが伸びているため、比率が下がっているように見えるが、中身としては堅調な推移といえる。会計基準の変更で、コピー機関連保守が計上できなくなっている影響で、下がったように見えるところもあるが、実質はそれほど落ちているわけではない」と説明した。

【単体】ストック(足し算)ビジネスの推移

 今後の方針については、中・長期経営方針として、「営業利益率・経常利益率ともに7%以上定着」を掲げた。「今回も上期は7.1ポイントを出しているが、下期になると少し下がる傾向がある。今年はこれをクリアできるよう、鋭意努力していきたい」。

 また、今年度と2019年のEOSとの比較を公表した。「タイミングは少し異なるものの、2019年1~6月と、2025年1~6月のデータを比較した。SI、サービス&サポートのバランスが2019年と2025年では大きく変わっている。前回の特需の時は、ハードが売れて、その後の部分についてはあまり寄与がなかった。正直言って、あまりつかむことができなかった。その反省も踏まえ、オフィスまるごとという方針、これもコロナの時期に売り方が変わってきた部分。その結果、今回の特需は若干前回と比べると数字の出方が変わっている」とハードだけの特需に終わらせないことを強調した。

2019年EOSとの比較

 S&S事業の拡大・安定成長については特に注力しており、「ハード系売上が目立つが、ストックビジネスをしっかり伸ばしてきた成果が徐々に出てきた。さらに、オフィスまるごとを掲げ、オフィスにある全商材を販売するビジネスにつなげていく体制を作ってきたが、これが粗利額の拡大、安定成長につながっている」と収益確保にも寄与しているという。

 また、今回初めて、「クラウド関連ビジネス」の動向をまとめた。上半期のクラウド関連ビジネスの売上高は341億円となった。

 「大塚商会はどちらかというと直販で、クラウドにはあまり力を入れていないと見られている。会社のボリュームから見るとまだ一部だが、昨年1年間では570億円を売り上げている。インターネット関連ビジネスは、実はスタートは1995年。20年前にスタートし、インターネットの接続サービスを開始している。当社のこのインターネット事業は、ヤフージャパンができる1年前からスタートしている。昨年度の570億円というボリュームは、例えばOBC、またはサイボウズなどと比べても、決して小さな数字ではない。全体の大きさに隠れてはいるが、これだけの規模のクラウドカンパニーが社内にあると見てほしい」(大塚社長)。

【単体】クラウド関連ビジネス

 1企業あたりの売上高も、今回初めて公表した。2025年上半期の1企業あたりの売上高は、前年同期比19.1%増の225万円。「1企業あたりの売上高は、2019年のEOSで好調だったものが、コロナ禍以降、従来の売り方が通用しなくなった。そこでオフィスまるごと、全商材を販売するビジネスに変えていくということで現在の形にシフトした。大塚商会のような会社はほかにないようで、以前、ロータス社のノーツ販売でトップの実績がありながら、マイクロソフトのExchangeの販売でもトップクラスということを、米国本社が理解してくれないという声があった。オフィス内の商材は、50兆円あると試算できるので、当社のビジネスの余地はまだまだ大きい」とオフィス全体を商材として扱っていく意向をあらためて強調した。

【単体】1企業当たりの売上高

 それを支える顧客情報を管理する「大戦略Ⅱ」、顧客自身が利用する「お客様マイページ」に加え、AIアシスタントによる営業活動効率化を進めている。「AIアシスタントは、2019年から利用を始めているが、訪問先の情報、今日のスケジュールが社員のiPhoneに届き、話しかけると見積もりを代わりに作ってくれるといった、営業のアシスタントとなり、応援をもらえるような環境を作り、生産性向上に一役買っている」

 通期売上高は、上半期の売上増分を上乗せし上方修正した。大塚社長は、「Windows 7のEOSの時には、当社の売上高は6000億円くらいだった。その時と比較すると売上高は2倍となっている。その後の経緯を見てもらえばわかるが、特需の年だけ売上が伸びているわけではなく、特需後もしっかりと売上が伸びている。山も谷もあるのはわかっているが、できるだけ谷がないよう来年も頑張り、さらに上回れるよう数字を伸ばしていきたい」と締めくくった。

【連結】売上高・利益の計画