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日立ソリューションズ、車載ソフトの開発プロセス標準化を支援するPTC「Codebeamer」を提供

 株式会社日立ソリューションズは9日、ソフトウェア開発のプロジェクトを包括的に管理する、米PTCのアプリケーションライフサイクル管理(ALM)ツール「Codebeamer」において、PTCジャパン株式会社と販売代理店契約を締結し、提供を開始すると発表した。

 Codebeamerは、開発ライフサイクルにおける要件管理や構成管理に加え、プロジェクト監視などの見える化機能を備えたツール。自動車業界向けの規格テンプレートを有しており、効率的に標準プロセスを開発現場に適用できる。テスト証跡などの成果物をひも付けるトレーサビリティ機能により、変更作業に伴う影響範囲を自動抽出し、開発プロジェクトにおいて汎用的なツールと連携することで、要件定義やテスト項目、ソースコードといったプロジェクト資産の利活用を促進する。

開発ライフサイクルにおけるPTC「Codebeamer」の役割(カバー領域)のイメージ図

 日立ソリューションズは、国内自動車メーカーでは、ソフトウェアを更新することで機能の拡張、性能向上ができるSDV(Software Defined Vehicle)への対応が急務で、品質管理を強化するためにAutomotive SPICEなど、規格に基づく開発プロセスの構築が必須となっていると説明。Codebeamerを活用することで、開発ライフサイクル全般の効率化を図り、プロジェクトの生産性向上を実現するとしている。

 テンプレートは、アジャイル開発やウォーターフォール開発、V字開発などの各種開発手法や、Automotive SPICE、機能安全(ISO 26262)、サイバーセキュリティ(ISO/SAE 21434)などの自動車関連規格に対応したテンプレートを提供。これらをベースに、標準プロセスに準拠した開発プロセスを、効率的に現場へ適用できる。社内のプロセスやデータ管理を一元化し、プロセス標準化やコンプライアンスに対応した開発環境を迅速に構築する。

 トレーサビリティ機能は、ソフトウェア開発の要件定義から、各種設計書、およびテスト証跡などの開発工程における成果物をひも付け、トレーサビリティを確保する機能を提供する。これにより、要件、仕様書、およびテストの網羅性の確認ができる。また、要素を変更した際の影響箇所がツールにより自動抽出されるため、影響調査の工数を削減する。仕様変更漏れや不整合、問題発生時の原因などを迅速に把握し、変更に伴う確認や作業漏れ、手戻りを防止できるため、開発効率および品質の向上を実現する。

 シミュレーションソフト「MATLAB/Simulink」や、ソースコード管理システム「Git」、プロジェクト管理ソフトウェア「Jira」などの汎用的なツールと連携が可能。他のプロジェクト内で管理されているデータを取得・参照できるため、要件定義やテスト項目の流用開発を促進し、開発効率化を推進する。また、Codebeamerのアクセス権限でデータのアクセス範囲を限定して制御することで、守るべき知的財産などを認可外のアクセスから守れるため、資産の共有と知的財産保護を同時に実現する。

 日立ソリューションズは、車載ソフトウェア関連で経験豊富な資格保有コンサルタントを有し、またSBOM関連のソリューションを提供するなど、さまざまな分野の開発からセキュリティ対策まで、幅広く支援していると説明。安全、安心なソフトウェア開発を支援することで、企業や社会のSX(サステナビリティトランスフォーメーション)に貢献していくとしている。