ニュース

NECとTOPPANホールディングス、5Gの室内電波不感エリア解消を目指した実証実験を実施

 日本電気株式会社(以下、NEC)とTOPPANホールディングス株式会社は13日、5G/6Gの社会実装を目指し、NECの持つ最先端のネットワーク・情報処理基盤技術と、TOPPANグループが持つさまざまなソリューションを組み合わせることを目的に、共創活動を推進していくと発表した。

 NECでは、5Gで使用されるミリ波帯(28GHz帯)は、大容量・高画質の情報を高速で伝送できるため、それを活用した遠隔地の監視や、リアルタイムの高精細な動画配信、テレビ会議など、さまざまなデジタルサービスへの拡大が期待されていると説明。しかし、ミリ波帯の電波は減衰が大きく、かつ直進性が高いため、建造物や遮蔽物による電波が届かない不感地帯が発生し、通信品質が低下しやすいという問題がある。これに対して、通信会社による5G基地局や中継局の増設などの試験的な対策が講じられているが、コスト増加の抑制、設置場所の確保などの課題があり、問題の解決には至っていないという。

 こうした課題を解決するため、NECはミリ波帯の利活用を目指した社会実装に向けて、さまざまな企業や大学、団体との共創活動を展開してきた。一方、TOPPANホールディングスは、電子部品の製造で培ってきた電磁界シミュレーションを用いた設計技術や高精細なエッチング技術を活用し、電波を制御するメタサーフェス構造を有する、軽量かつフレキシブルなミリ波反射シートの開発に取り組んできた。

 これらの技術とソリューションを組み合わせ、NECとTOPPANホールディングスでは共同実証を4月に開始する。具体的には、神奈川県川崎市のNEC CONNECT 5G Labで、NECの28GHz帯ローカル5G基地局と、TOPPANホールディングスが開発した意匠性のあるミリ波反射シートを用いて、5Gの室内電波不感エリアの解消を目指した実験を実施する。両社は昨年、意匠性のないミリ波反射シートによる電波通信品質改善に関し、既に事前検証を実施しており、今回の実証では実利用シーンに近い試験環境での通信品質改善の効果について検証する。

 NECとTOPPANホールディングスは今後、両社がそれぞれ保有するラボ、NEC CONNECT 5G LabとTOPPAN DIGITAL SANDBOXをベースに、5G/6Gのビジネス探索の観点で共創活動を強化していくと説明。この活動を通じて、5G/6G通信のユーザーのさまざまなニーズに応え、5G/6G、さらには「IOWN」による通信技術の社会実装を加速して、新たな価値創出に向けた提案を行っていくとしている。

NEC CONNECT 5G Labでの実証イメージ