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Veeamがクラウドデータ保護でMicrosoftやJBSと協業強化、「クラウドデータ保護の新定番を目指す」

 ヴィーム・ソフトウェア株式会社は2日、日本ビジネスシステムズ(以下、JBS)と協業し、クラウド環境のデータ保護ソリューション提供を強化すると発表した。日本企業のクラウド導入は以前に比べ進んでいるものの、自社用にカスタマイズした、VMwareの仮想化を使ったオンプレミスシステムが数多く残っていることから、Microsoftのテクノロジーを利用し、レガシー仮想化のMicrosoft Azure移行、クラウドバックアップの刷新、Microsoft 365のバックアップなどを推進するという。

Veeam × マイクロソフト× JBSで実現するデータ保護

 ヴィーム・ソフトウェア 執行役員社長の古舘正清氏は、「3社の協業体制を強化することで、クラウド時代のデータ保護の新たなスタンダードの確立を目指す。特にランサムウェア対策は、日本企業にとって急務となっている。感染後に、クリーンなデータ復旧と復元する環境構築が、マルチクラウド時代の事業継承に不可欠」と、協業の狙いと背景についてアピールした。

ヴィーム・ソフトウェア株式会社 執行役員社長の古舘正清氏

 今回、協業の背景となっているのが、2024年3月にVeeamとMicrosoftがグローバルで結んだ戦略的提携。Veeam Date CloudからMicrosoft 365、Microsoft Azure向けデータ保護ソリューションをグローバルで提供することが発表され、さらにMicrosoft Copilot統合による、データ自動分析を行うAI機能を共同開発するなど、技術面での連携を強化した。

 さらに、セールス&マーケティング分野も提携内容にあり、VMwareマイグレーション to Azure、Microsoft365+Veeam Microsoft365バックアップを、パートナーとともに共同提案していく。ライセンス料値上げなどの問題でVMwareの仮想化システム利用に悩むユーザーが多いことから、オンプレミスからMicrosoft Azureへの移行を含めて提案するという。

セールス&マーケティングにおける協業内容

 実際に日本企業と接するJBS 代表取締役社長の牧田幸弘氏は、「日本企業のクラウド化の現状を見ると、Microsoft 365は多くの企業に導入され、この領域のクラウド化は着実に進んでいる。一方、基幹システムなど社内で利用するアプリケーションについては、自社向けにカスタマイズして利用しているものが多いため、クラウドへの移行はなかなか進まず、『日本企業のクラウド導入』の大きなブレーキとなっている現実がある」と指摘する。

日本ビジネスシステムズ株式会社 代表取締役社長の牧田幸弘氏

 さらに、「データ保護については、クラウドに上げればデータは保護されている、クラウドを使っていればデータは安心と考える企業が多かったが、実はクラウドを利用している場合でも、データについてはユーザー自身が責任を持つ必要があると、ようやく理解されるようになってきた。今回、ハイブリッド・マルチクラウドソリューション、セキュアバックアップソリューションを提案し、データをサイロ化せず、ランサムウェア被害などにあった場合にもスピーディで安全にデータ復旧できる、データ保護ソリューションを提供する」(JBSの牧田社長)と、クラウドを利用している際のデータ保護についても提案していく。

クラウド時代におけるデータ保護の課題

 また、日本マイクロソフト 執行役員 常務 パートナー事業本部長の浅野智氏は、「ご存じの通り、マイクロソフトではかなりAIに振り切った戦略をとっている。アプリケーションにAIを組み込むことも積極的に行っており、基幹システムのAI化は今後5年、10年続く大きなトレンドになっていくだろう」と話す。

 しかし、現行システムがクラウド化されていない場合、基幹システムのAI化は容易ではない。そこでAI化実現の前段階として、基幹システムなど企業が社内で利用するアプリケーションのクラウド移行を推進するとした。

日本マイクロソフト株式会社 執行役員常務 パートナー事業本部長の浅野智氏

 「いきなり、レガシーシステムからAI基幹システムへの移行は難しい。そこでクラウド化を経て、デジタル環境を整えた上で、AI化、モダンアプリケーションへの移行することが現実的な選択となる」(日本マイクロソフトの浅野執行役員常務)。

AI Transformationへの現実的な道筋

 一方でヴィーム・ソフトウェアの古舘社長は、こうしたクラウドへの移行とともに、ランサムウェア対策としてバックアップ見直しをはかる企業が拡大していることを指摘する。

 「経済産業省が発表したサイバーセキュリティ経営ガイドラインVer3.0の中で、インシデントによる被害に備えた事業継続・復旧体制の整備が必要であると言及されている。クリーンなデータ復元、復旧計画と復旧リハーサルを実施しておくことで、ランサムウェア感染が起こった際にも事業への影響を最小限に抑えることができる。それを実現するためのデータ保護だが、VMwareが買収され、インフラ見直しを検討する企業が急増しており、その際にマイクロソフト環境へ移行するユーザーが多いことから、マイクロソフトと当社との戦略提携が大きなプラス材料となっている」。

 ヴィーム・ソフトウェアでは2024年の事業戦略としてBaasビジネスの拡大を挙げているが、Microsoftとの協業拡大によって、Microsoft 365、Microsoft Azureの注力が実現する。

 同じく、事業戦略で挙げているチャネルパートナービジネス拡大についても、JBSとの協業によって実現する。

 ヴィーム・ソフトウェアの古舘社長は、「グローバルではすでにシェア№1を実現し、日本では現在2位で、トップシェア獲得を目指し、ビジネスを行っている。今回の協業をその足がかかりとしていきたい」と延、協業によってさらなるビジネス拡大と、日本市場でのシェア拡大を目指すことをあらためて強調した。