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セールスフォース、AIで営業活動をサポートする新機能を2月14日から提供

 株式会社セールスフォース・ジャパン(以下、Salesforce)は17日、Sales Cloudの生成AI機能を、日本において2月14日から提供すると発表した。CRMデータを基に、ワンクリックでパーソナライズドされたセールスメールを作成する機能や、文字起こしに加えて要点を簡潔にまとめてくれる「通話サマリー」、顧客とのやり取りを記録することで、通話内容を営業メンバーが活用可能にする「通話探索」などの機能を提供する。

 米SalesforceのSales Cloud担当シニアバイスプレジデント、マリーアン・パテル氏は、「従来のCRMは人間の手でデータを入力してから使い始めなければならなかった。今回、AI機能の拡充によって、人間が入力しなくてもAIが必要な情報を入力してくれるようになった。CRMの定義が新しいものに変わった」と説明している。

米Salesforce シニアバイスプレジデント 製品マネジメント Sales Cloud担当 マリーアン・パテル氏

 セールスフォースでは、AI活用を加速することを、2023年に開催した自社イベントのDreamforceなどでアピールしている。AIプラットフォーム「Einstein 1 Platform」から、各アプリケーション上のAI Copilotの提供、顧客プロファイルの統合、メタデータ統合、ローコード&自動化、オープンデータ+AIエコシステムなどを実現する。

 Einstein 1のアーキテクチャには、3つのレイヤがある。Copilotやスキル、プロンプトなどからなるビルダーレイヤー、Salesforceのモデル、顧客自身のモデル、OpenAIやAWSなど外部のあらゆるモデルを扱うレイヤであるオープンモデル、セキュアなデータ取得やデータマスキングなどを行うEinstein Trust Layerの3層だ。

 特徴的なのが、CRMが、企業にとって最も重要な顧客データを扱うことをふまえ、データの信頼性と保護を重視したEinstein Trust Layerである。信頼性を担保するためのセキュアなデータ取得、動的グラウンディング、データを守るためのマスキング、プロンプトdefenseを実施。利用したデータについても、有害性の検出、データを削除するマスキング、監査履歴を残すことによってデータの信頼性とデータ保護を実現する。

Einstein 1のアーキテクチャ
Einstein Trust Layerの仕組み

 こうして信頼性を担保しながら、セールス向けAIを提供する。AI活用によって見込み客の獲得、ナーチャリング、成約まで営業活動全般をサポートしていく。

 2月14日から提供を始める「セールスメール」は、AIによって、パーソナライズされた効果的なメールをワンクリックで作成する。データをもとに、利用者の営業相手に応じてパーソナライズされた内容のメールを自動的に生成。営業活動におけるメールを効果的なものとして利用できるようになる。

セールスメール

 同じ日に提供が始まる「通話サマリー」では、AIを活用することにより、通話サマリーとアクションアイテムを作成する。電話など音声のやり取りに加え、オンライン会議を行った際に利用すれば、自動的に議事録を作成することができる。議事録から重要事項を特定してまとめてくれるので、面談が終わった後にどんなやり取りが行われたのか、要点を確認できるとした。

通話サマリー

 こうした新機能のベースとなっているのがData Cloud for Sales。Salesforceのアプリ、データウェアハウスやデータレイクなどさまざまなデータリソースのデータを調整し一体化。このデータをCRMアプリで活用することで、最新のデータに基づいた予測AIと生成AIによって、営業活動支援を行う。

Data Cloud for Sales

 「最近、大きな課題となっているのがセールステックとしてさまざまなツールが提供され、多くの企業が複数のセールステックを利用しているため、営業担当者の多くがツールの多さに悩んでいる。ある調査では67%の理業担当者がツールの多さに悩みを抱えているという結果が出ている。さらに、94%の営業担当者は、セールステックをもっと簡素化してほしいと考えているという調査結果も出ている」(パテル氏)。

 そこでSales Cloudでは、よりシンプルで効果的に営業活動を行うことができるよう、機能強化を継続的に行っている。営業マネージャーが戦略的にデータ活用を行えるように、Einsteinを活用した「Einstein活動キャプチャ」、「Einstein営業予測」などはすでに提供している。

 新規顧客をチームセリングで獲得するために、ダッシュボードで営業状況をチーム全体で共有することができる「Einsteinプロスペティングセンター」を2月からパイロット提供、「自動プロスペティング評価」も2月からパイロット提供を始める。

 顧客との関係強化につながるのが「セールスメール」と「通話サマリー」で、AIを活用することで営業活動をより効果的で、細かな対応ができるよう機能強化が進められている。

 なお、こうした新機能の提供開始後、即利用を開始できるのが「Unlimited+」というライセンスだ。Sales Cloudには、基本機能を利用できる「Starter」、基本機能に加えメール連携やEinstein活動キャプチャを利用できる「Professional」、Professionalの全機能に加えワークフロー、自動化と売り上げ予測とパイプラインインスペクションなどの機能を利用できる「Enterprise」、Enterpriseの機能すべてと高度な自動化、セールスAIなどの機能を利用できる「Unlimited」というライセンスが用意されていたが、今回の機能追加等に伴って、新ライセンスの提供を開始するとした。

ライセンス体系