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「Dreamforce」で弾みを 生成AIに賭けるSalesforce

 SalesforceがエンタープライズAIに全面展開しようとしている。同社の「Dreamforce」はテック業界最大規模とされるイベントだが、9月12日から始まる今年のDreamforceは全編AIをテーマに掲げた。2022年末から、幹部の相次ぐ退社や株主の圧力に直面してきたSalesforceだが、生成AIを次の起爆剤にできるだろうか――。

“世界最大のAIのイベント”

 DreamforceはSalesforceが毎年秋に本拠地サンフランシスコで開催するカンファレンスだ。過去には元米大統領、AppleやMicrosoftなどテック大手のCEO、スポーツ選手、俳優などのセレブリティが登場し、共同創業者兼CEOのMarc Benioff氏と社会問題について語り、幹部が新製品を発表するというイベントだ。今年で21回目を迎える。

 今年は、その歴史の中でも最も変化を感じるイベントになるかもしれない。同社は昨年末から、後継者と目されてきた共同CEOのBret Taylor氏など幹部が辞め、買収したSlack Technologiesも創業者をはじめとする幹部が去っていった。その後、共同CEOは任命されておらず、Benioff氏の単独CEOが続いている。昨年はTaylor氏と掛け合いをしていた基調講演も、今年の相手は「Marc Benioffとスペシャルゲスト」となっている。

 戦略面ではAIが最大のトピックになりそうだ。事前告知には「最新のAIイノベーション」「ナンバー1のAI CRMが企業のビジネスの将来を変革する」といった文言が並ぶ。

 そして、世界に生成AIブームを巻き起こしたOpenAIのCEO、Sam Altman氏、ChatGPTよりも信頼性が高いとの評価があるチャットAI「Claude」を開発したAnthropicの共同創業者兼CEOのDario Amodei氏、Googleなどを経てスタンフォード大学でHuman-Centered AI Instituteの共同ディレクターを務めるFei-Fei Li博士らAI業界の著名人が多数参加する予定だ。

 Salesforce AI担当CEOのClara Shih氏はThe Examinerに対し、「世界最大のAIイベントになる。世界中のあらゆる企業向けの“信頼できるAI”という全く新しい時代がテーマになる」と述べ、同社が得意とするCRMを中心に、AIを活用した世界を見せるとしている。