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大阪大学とNEC、学生・教職員・卒業生などの統合ID基盤を構築、顔認証技術を活用した入場管理を導入

 国立大学法人大阪大学と日本電気株式会社(以下、NEC)は11日、大阪大学に関わるすべての構成員の統合ID基盤「OUID(Osaka University IDentity)システム」を構築したと発表した。

 OUIDシステムでは、在籍中の大阪大学の学生および教職員約3万人に加え、入学前や卒業後・退職後を含めた生涯的なID活用を想定している。OUIDシステムを活用したアプリケーションの第一弾として、NECの顔認証技術を活用した入場管理システムを、大学構内の屋内および屋外の計26カ所に、全学共通のインフラとして設置・導入する予定。これは、国内の大学で最大規模になるという。

OUIDシステム概要
大阪大学共創イノベーション棟で稼働予定の顔認証入場管理システムの様子

 大阪大学では、中期経営計画で掲げる「OUマスタープラン2027」の一環として、2022年4月にOUDX推進室を立ち上げ、学内のDXを推進している。そのDX施策の中枢を担う施策として、入学前や卒業後・退職後を含めた生涯的なID活用を想定し、大阪大学に関わるすべての構成員の統合ID基盤として、クライアント証明書による認証機能を持つOUIDシステムを2023年3月に構築した。

 QUIDシステムでは、証明書を事前にデバイスにインストールしておくことで、利用者の管理端末外から不正利用されるリスクを低減させ、認証時の作業負荷を軽減できるほか、マイナンバーカード連携による本人確認機能も利用可能。これら統合されたIDを基に、卒業生など大阪大学コミュニティに存在するすべてのステークホルダーに対し、学内外に対して付加価値の高いサービスを提供する「OUIDサービス構想」の実現を目指している。

OUIDサービス構想

 2023年4月からは、構成員が実際にDX施策のメリットを実感できるよう、OUIDシステムと連携した各種システムの開発・導入へと発展させていくためのフェーズに入っており、その一つが顔認証入場管理システムとなる。

 顔認証入場管理システムの導入の背景として、大阪大学では、建物や部屋ごとにシリンダーキーやIC・磁気カードなど、入場管理の方法が異なっており、鍵管理の業務負荷や紛失リスクに加えて、手書きの鍵貸出台帳の準備や記入といった煩雑な手続きがあった。

 そこで、構成員に一意に割り当てられた生涯IDであるOUIDと連携した顔認証入場管理システムを導入することで、これらの煩雑な手続きが不要にする。採用・退職・配置換などの人事異動と自動連動した入場管理など、利便性向上・安心感・先進性を実感できるサービスを提供する。顔認証入場管理システムは、2024年4月から吹田キャンパスの本部事務機構棟をはじめとするその他建物を含め、計26カ所に設置する予定。システムは、30万人以上のアカウント管理の実績がある、NECの「統合ID管理基盤システム」をベースに構築している。

 現在、OUIDと連携したデジタル学生証/教職員証、大阪大学のコミュニティ(受験生・在学生・卒業生・教職員など)に関わる人材データを、厳重なセキュリティ管理のもと一元的に集約・管理し、分析・活用する基盤であるOU人財データプラットフォームを構築している。OUIDと連携した顔認証技術の適用については、大阪大学附属図書館における入場ゲート・本の貸し出し・返却・自習室の混雑検知、授業の出欠管理、事務系PCへのログオンなど、学内でのさらなる利活用を目指す。また、将来的にOUIDシステムは、大阪大学を利用する学外の人にも展開するなどの、社会貢献活動も視野に入れていくとしている。