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エクイニクス・ジャパンの2023年度事業戦略説明会、AIとの融合、エコシステムの進化、サステナビリティの実践に注力
2023年7月11日 06:15
エクイニクス・ジャパン株式会社は10日、2023年度の事業戦略説明会を開催した。代表取締役社長の小川久仁子氏は、2023年の事業戦略として、「すべてのデジタルリーダーにとって必要不可欠なパートナーに」なることとし、AIとPlatform Equinixの融合、エコシステムの進化、サステナビリティの実践の3点を2023年に注力する戦略として挙げた。
小川氏は、2023年でエクイニクスが創業25年となることに触れ、2000年代のWebやSNS、SaaS、2010年代のクラウド、2020年~2022年のパンデミック下と、時代のニーズに合わせてエクイニクスも必要なサービスを提供してきたと説明。さらに、現在ではAIへの期待が急速に高まっており、エクイニクスでもAIの活用を考える企業に向けたサービスを展開していくとした。
2023年に注力する戦略のうち、AIとPlatform Equinixの融合については、顧客がAIを実装するために必要な要件としては、「データ」「クラウドへの近接性」「低遅延」「自動化」の4点が挙げられるとした。データはセンサーなどから収集されるものも含めて膨大なものとなり、クラウドへの近接性は全世界の技術者が全世界のデータを操作することになるため、クラウドサービスを快適に使える環境が欠かせないと説明。また、低遅延は自動運転の実現などでは特に重要となり、自動化はこうした各種インフラが自動的にスケールアウトする環境が必要だとした。
こうしたAIに求められる要件は、エクイニクスのデータセンターサービスやネットワークサービスなどPlatform Equinixとシナジーが高く、さまざまなAIの実装における効果を最大化すると説明。シドニーを拠点とするAIの医療テック企業Harrison.aiは、AIベースのX線診断ツールを開発しており、シドニーにあるエクイニクスのIBXデータセンターを活用して、機械学習プラットフォームを支える複数のNVIDIA DGX A100システムを設置しているといった事例を紹介した。
エコシステムの進化については、エクイニクスでは企業とサービスプロバイダーのデジタルエコシステムへの参加を支援しており、グローバルでもクラウドへの接続拠点のカバレッジは世界でトップだと説明。また、4月には日立との協業強化、3月には英OQCの量子コンピューターをエクイニクスのTY11データセンターへの導入を発表しているが、これらは日本発の取り組みとしてグローバルに展開していく形となっていると語った。
サステナビリティの実践については、エクイニクスは再生可能エネルギー100%化やカーボンニュートラルといった目標をいち早く掲げ、サステナビリティの取り組みを進めており、2022年の進捗状況として、炭素削減23%、世界220の拠点で平均96%の再生可能エネルギーに対応、年間平均PUE 1.46といった数字を紹介。さらに未来のデータセンターへの取り組みとして、低炭素エネルギーの活用や、高効率な冷却への移行、廃熱の再利用や建材の体積炭素削減などのサーキュラーエコノミーの導入、ソフトウェアを使用したデータセンターオペレーションの最適化・自動化などを進めているとした。
説明会の後半には、セガサミーホールディングス株式会社 執行役員 ITソリューション本部長の加藤貴治氏が登壇。エクイニクスは、セガサミーグループの中央ハブとなるデータセンターとして、動画や音源、3Dモデルなどコンテンツの9割が格納されており、主要なクラウドサービスへの接続性が良く、ダイレクトアクセスを容易に設定できる点や、都市型データセンターでアクセスが良好なこと、クリーンエネルギー使用率100%、ローカルなニーズをくみ取ってくれ、削減案の提案などの細やかな気配りが魅力だと語った。
また、セガサミーグループでは、グループやプロジェクトを横断してデータを活用するためのデータレイクを構築するSoraプロジェクト、Generative AI(生成AI)の活用に向けた取り組みを進めているとした。
セガサミーグループのコンテンツを消費する国や地域がさらに広がり、最近ではコンテンツの世界同時発売も大事にしている中で、プランニングやマーケティングの面からもグローバルなデータの共有・活用が必要になっていると説明。また、コンテンツやソースコードといったデータも生成AIでの活用を検討しており、こうした取り組みにおいても、エクイニクスでオンプレミスに保存するデータを、各種クラウドと接続する形が適しているとした。