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Red Hat、Red Hat Enterprise Linux 9.2の提供開始とRed Hat Enterprise Linux 8.8の近日提供を発表

 米Red Hatは現地時間10日、Red Hat Enterprise Linux 9.2の一般提供開始と、Red Hat Enterprise Linux 8.8の近日提供開始を発表した。これらの新リリースは、データセンターからパブリッククラウド、エッジのデプロイメントまで、ハイブリッドクラウドにおける複雑なLinuxプラットフォームタスクを簡素化・合理化し、ITチームが人員やスキル不足を克服して重要なインフラストラクチャ分野の効率を向上させるための、Red Hatの取り組みをさらに強化するとしている。

 Red Hat Enterprise Linux 9.2と8.8は、一般的な管理タスクを自動化することで、規模に応じた一貫性と効率性をもたらすのに役立つ、Red Hat Enterprise Linux固有のAnsibleコンテンツであるシステムロールの機能を引き続き拡張する。これは、Microsoft SQL Serverから仮想プライベートネットワーク(VPN)まで、多くの一般的なLinuxロールを、初歩的なLinuxの知識で簡単に構成、認証、デプロイできることを意味すると説明。また、システムロールは、自動化された機能により、これらの機能の再構成が容易になるため、アップグレードの際の混乱が少なくなり、将来に向けたデプロイメントが可能になるとしている。

 最新のリリースでは、Linuxプラットフォーム上でコンテナを開発、管理、実行するためのRed HatのツールであるPodman用のRed Hat Enterprise Linuxシステムロールが追加され、これらのロールが拡張された。通常、Podmanインスタンスの作成にはコマンドラインの知識が必要だが、このシステムロールにより、管理者は特定の環境に適合する構成を自動化できる。これには、Red Hat Enterprise Linuxホストにあらかじめ統合されたリリース可能なコンテナ・ワークロードをデプロイする機能も含まれており、Linux管理者がコンテナインフラストラクチャを維持するスキルを拡張できるようにする。

 Red Hat Enterprise Linuxシステムロールの追加アップデートには、Microsoft SQL ServerとMicrosoft Active Directoryに関する拡張機能が含まれる。これには、SQL Server/Active Directory認証の自動化、Always-On可用性グループのサポート、SQL Server 2022のサポートが含まれる。

 Red Hat Enterprise Linuxは、イメージビルダーを通じて、ハイブリッドクラウド運用を単一の「ゴールド」オペレーティングシステム標準に基づくものとするIT組織を支援する。イメージビルダーは、システムセキュリティとコンプライアンスのための包括的なITコントロールとポリシーの順守を維持しながら、パブリッククラウドからエッジまで、さまざまな環境に最適化された、標準オペレーティングシステムイメージの作成を簡素化する。

 Red Hat Enterprise Linux 9.2と8.8の新機能として、作成したイメージに組織固有のセキュリティポリシーを含められる。例えば、所定のOpenSCAPセキュリティプロファイルで定義されたセキュリティポリシーや、より安全にエッジデバイスをプロビジョニングするためのポリシーなどがある。

 また、イメージビルダーは、データセンターの内外でRed Hat Enterprise Linuxブループリントの作成と共有もサポートするようになった。ブループリントは、特定の標準オペレーティングシステムイメージのフレームワークを提供し、それをイメージビルダーが仕様として消費できる。これにより、切断されたまたはエアギャップされたLinuxシステムであっても、内部のイメージ標準化を推進できる。また、ITチームはこの機能を利用して、パートナー、エンドユーザー、オープンソースコミュニティと、独自の課題に対応するLinux構成に関する外部コラボレーションを推進できる。

 イメージビルダー以外にも、Red Hat Enterprise Linuxウェブコンソールは、ハイブリッドクラウドにおけるITセキュリティとコンプライアンスポリシーの実施を促進する。このコンソールにより、管理者はブラウザーインターフェイスからさまざまな構成や管理タスクを実行できる。

 このウェブコンソールには、ネットワークバウンドディスク暗号化(NBDE)を使用して、ルートファイルシステム上で自動暗号化ディスクロック解除を構成する機能が追加された。従来はコマンドラインパラメータの専門知識が必要だったが、この機能により幅広いLinuxスキルのユーザーに利用できるようになった。また、管理者はウェブコンソールを使用して、システム全体の暗号化ポリシーの使用頻度の高い組み合わせを選択できるようになり、関連するすべてのシステムをさまざまなコンプライアンスや組織固有のニーズに合わせて維持できるようになった。

 また、Red Hatでは、Red Hat Enterprise Linuxの新たな2つのライフサイクルを提供する。Enhanced Extended Update Supportは、Red Hat Enterprise Linux 9以降で利用可能で、各マイナーアップデートの一般提供開始から最長4年間、システムにソフトウェアアップデートを受けられる。

 Red Hat Enterprise Linux 7 Extended Lifecycle Support(ELS)は、Red Hat Enterprise Linux 7.9で利用可能になり、10年間のRed Hat Enterprise Linux 7のライフサイクルの保守終了後、継続してサポートを提供する。延長ライフサイクル期間は、2024年7月1日から2026年6月30日までで、Red Hatでは、この延長サポート提供を利用して、Red Hat Enterprise Linux 8または9への移行を計画することを推奨している。