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米Red Hatが「Red Hat Enterprise Linux 9」を発表、今後数週間のうちに一般提供を開始
2022年5月11日 00:00
米Red Hatは5月10日(米国時間)、商用Linuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」の最新版、「Red Hat Enterprise Linux 9(RHEL 9)」のリリースを発表した。5月10日から11日(米国時間)にオンラインで開催されている年次イベント「Red Hat Summit 2022」に合わせて発表されたものだ。
同時に、カスタマイズされたRHELのシステムイメージを作成する「RHEL image builder service」の正式サービスもアナウンスされた。
また、Red Hat Ansible Automation PlatformをMicrosoft Azure上のマネージドサービスとして提供する「Red Hat Ansible Automation Platform on Microsoft Azure」がGA(一般提供)となったことも発表されている。
RHEL 9:エッジ向けの機能を強化
Red HatではRHEL 9について「エッジとマルチクラウドに合わせて設計され、データセンターからクラウドやエッジまで一貫して管理可能」とうたっている。
RHEL 9は数週間のうちに、RHELのサブスクリプションサービスから入手できるほか、パブリッククラウドのAWS(Gravitonプロセッサーのインスタンスを含む)、Google Cloud、IBM Cloud、Microsoft Azure上で利用できるようになるという。
RHEL 9は、CentOS Streamを開発版として作られた最初のメジャーリリース版となる。CentOSはこれまでRHELのクローンとして作られていたが、2020年にクローンとしての開発を終了することと、RHELの元になる開発版であるCentOS Streamにプロジェクトをフォーカスすることを発表した。
プレスリリースでは、RHEL 9の新しいターゲットとして、企業ネットワークのエッジにおけるITを発展させるよう設計したとしている。具体例としては、遠隔地へのデプロイ、セキュリティ、ゼロタッチプロビジョニング、システムの健全性の視覚化、対応が必要な脆弱性の緩和などの機能を持った、一貫したエッジ管理ツールが挙げられている。またコンテナエンジンのPodmanにおける、コンテナの更新に失敗したときに旧バージョンに自動的にロールバックする機能も挙げられている。
RHEL image builder servicesの正式サービス
同時に、「RHEL image builder service」の正式サポートとしてのサービス開始もアナウンスされた。2021年12月にベータ版としてリリースされていた。
RHELサブスクリプションの中で、独自にカスタマイズしたシステムイメージを作成できるサービスだ。これまでRHELの中のツールとして提供されていたRHEL image builderの機能が、SaaSサービスとして「Red Hat Hybrid Cloud Console」から利用できる。
これまでのベータ版では、Amazon EC2、Microsoft Azure、Google Cloud、Red Hat OpenStack、Red Hat Virtualization、KVM向けの仮想マシンに対応していた。今回はそれに加え、VMware vSphereの仮想マシンと、物理サーバーのインストールイメージに対応する。また、ファイルシステムのマウントポイントのカスタマイズや、アクティベーションキーの参照にも対応。RHEL 8と9のイメージを作成できる。
Ansible Automation Platform on Microsoft AzureのGA
Red Hat Ansible Automation Platformは、自動化ツールのエンジンAnsible Engineや、その運用管理のAnsible Tower、コンテンツを共有するAnsible Automation Hubを含むプラットフォームだ。
Red Hat Ansible Automation PlatformをMicrosoft Azure上のマネージドサービスとして提供する「Red Hat Ansible Automation Platform on Microsoft Azure」のGA(一般提供)開始も発表された。2021年12月に発表されプライベートプレビューとして提供されてきたもの。北米では今回GAとなり、グローバルでも間もなくGAとなる予定。
新たにAnsible Automation Platform 2.2の機能もテクニカルプレビューとして提供される。新機能としては、Ansibleのコンテンツを署名して検証するAnsible content signing technologyが挙げられている。