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JBCCホールディングスが2022年度連結業績を発表、増収増益で営業利益は過去最高を更新
中期経営計画「HARMONIZE 2023」の目標値を上方修正
2023年5月11日 12:47
JBCCホールディングス株式会社は11日、2022年度(2022年4月~2023年3月)連結業績を発表した。売上高は前年比4.0%増の581億4400万円、営業利益は同22.1%増の37億6400万円、経常利益は同19.2%増の38億4700万円、当期純利益は同19.3%増の26億7900万円となった。売上総利益率は31.0%、営業利益率は6.5%、ROEは14.1%。営業利益は25年ぶりに過去最高を更新したほか、2023年度を最終年度とした中期経営計画「HARMONIZE 2023」の目標値を1年前倒しで達成しており、同計画の上方修正も発表した。
JBCCホールディングスの東上征司社長は、「JBグループは、物販ビジネスからサービスビジネスへの移行だけでなく、クラウド、セキュリティに代表される付加価値が高く、ストック型ビジネスへの移行に踏み切った。物販により、数億円や数千万円といった売り上げが一時的に計上されるビジネスをやめ、月々数十万円のビジネスに移行し、長い時間軸で売り上げを計上するようにした。その結果、売上高はずっと減少してきたが、2022年度は、失うビジネスと得られるビジネスが反転し、クラウド、セキュリティによるストック型ビジネスによって成長できる体制を実現した。売上高の前年比4%増の重みは極めて大きく、継続的に成長できる最初の1年となった。足腰を強くできた1年であり、過去最高益の更新を毎年繰り返すことができる体質になった」と、業績に強い自信をみせた。
2022年度のセグメント別業績は、情報ソリューション分野の売上高が前年比4.1%増の561億4000万円、売上総利益は同5.8%増の167億1700万円。そのうち、SIの売上高が同13.9%増の166億6600万円、売上総利益が同14.2%増の57億5500万円。サービスの売上高が同6.3%増の276億4800万円、売上総利益が同4.4%増の83億9200万円。システムの売上高が同11.0%減の118億2500万円、売上総利益が同5.5%減の25億6900万円となった。
「超高速開発が堅調に成長しており、クラウド、セキュリティによるストック型ビジネスが売上総利益を押し上げている」という。製品開発製造分野の売上高は前年比0.5%減の20億400万円、売上総利益は同7.4%増の12億9400万円となった。
「製品開発製造の減収は計画通りである。インパクトプリンタによるハードウェアビジネスは、失うビジネスと位置づけ、前年比15%減となっている。だが、独自ソフトウェアのクラウドデータ連携サービスは前年比16%増となっている。付加価値の高いソフトウェアビジネスが成長している」と述べた。
次年度の連結業績見通しは増収増益、HARMONIZE 2023の計画も上方修正
一方、2023年度(2023年4月~2024年3月)の連結業績見通しは、売上高は前年比1.5%増の590億円、営業利益は同6.2%増の40億円、経常利益は同6.6%増の41億円、当期純利益は同6.4%増の28億5000万円とした。HARMONIZE 2023では、最終年度の計画として、売上高が575億円、営業利益が36億円、経常利益が37億円、当期純利益が25億5000万円としていたが、いずれも上方修正している。
「控えめな数字と見えるかもしれないが、社員への投資を強化してきたいと考えている。また、AI関連の社内カンパニーにも投資をしていく。ビジネスの状況は健全な状況であると自信を持っていえる」とした。営業利益は引き続き過去最高の更新を目指す。
セグメント別業績見通しは、情報ソリューション分野の売上高が前年比1.3%増の568億5000万円。そのうち、SIの売上高が同1.0%増の168億円、サービスの売上高が同8.3%増の299億5000万円、システムの売上高が同14.6%減の101億円とした。製品開発製造分野の売上高は前年比7.3%増の21億5000万円を見込む。
東上社長は、「年商1000億円以下の企業では、DXに対する投資意欲が継続しており、むしろ徐々に向上しているという感触がある。年商1000億円を超える企業でも、生産管理や販売管理においてパッケージを使うのではなく、JBグループが蓄積したノウハウをもとにした開発したアセットを活用し、標準化するといった新たな解を提供できている」と述べた。
中期経営計画「HARMONIZE 2023」では、2023年度までに、SI全体に占める超高速開発比率を70%、クラウドの年平均成長率46%、セキュリティでの年平均成長率42%、クラウド連携本数の契約本数で1万本を目指している。
超高速開発の2022年度実績は、売上高は前年比25.4%増の73億2500万円、新規開発受注高は同30.7%増の82億2700万円。SI全体に占める超高速開発の比率は60.1%にまで拡大した。企業のDX 需要を背景に、迅速、柔軟に提供できる超高速開発の受注が加速し、大型案件を含むプロジェクトが順調に推移しているという。
2023年度は、売上高が前年比30.7%増の95億7000万円、受注高が同16.5%増の95億8000万円を目指す。SI全体の占める超高速開発の売上構成比は69.2%になる。
JBCCホールディングス 取締役の内田義隆氏は、「超高速開発であるJBアジャイルは、自社の強みをシステム化したいという企業や、短納期でのサービスインを希望している企業にとって適しており、パッケージとの差別化ができている。学習塾、鉄鋼業、建材卸、食品製造の4業種に展開しているが、今後は、特定業種を対象とした開発に注力するとともに、アセットのマイクロサービス化により、さまざまな業種への対応を図っていく」と述べた。
また、パートナー戦略を強化。「協業パートナーに対して、JBアジャイルの適用による高品質な開発や、ローコード開発ツールを利用した高い生産性の実現、アセットの相互利用といったメリットを提供できる。2023年度は、技術力を持ったパートナーとの連携を強化し、25社の戦略パートナーを獲得する。すでに65社を対象にアプローチを開始しており、18社が前向きに検討している」という。
クラウドの2022年度の売上高は、前年比54.8%増の49億500万円、新規の月額受注高累計は同26.7%増の1億6700万円となった。また、セキュリティの売上高は前年比43.4%増の38億7500万円、新規の月額受注高累計は同45.1%増の1億3000万円となった。
働き方の多様化やセキュリティ需要増加を背景に、クラウドとセキュリティとともに成長し、合計での売上高は前年比49.6%増となった。ストックビジネスが伸長し事業構造変革が加速しているという。
2023年度のクラウドの売上高は前年比44.9%増の71億500万円、新規月額受注高累計は同51.5%増の2億5300万円を見込む。また、セキュリティの売上高は同42.2%増の55億1700万円、新規月額受注高累計は同35.4%増の1億7600万円を見込んでいる。
東上社長は、「2023年度には、クラウドとセキュリティをあわせた新規月額受注高累計で4億2900万円を計画している。年間では約50億円の受注が積みあがることになる。ストック型ビジネスで、50億円の新規受注規模を持ってスタートできるというのは大きな強みである。そこに向けて順調に滑り出している」と語った。
また、JBCCホールディングス 取締役の薮下真平氏は、「JBグループのクラウドビジネスの強みは、SaaSにおいて、クラウド利活用の定着化を実現するために、クラウドデザインワークショップやMicrosoft 365利活用ワークショップ、kintone DXワークショップなどを無償で提供していること、IaaSでは、運用管理とコスト最適化を実現するEcoOneの提供により、平均30%のコスト削減できることが評価されている。約2000社のクラウド化を支援した実績を生かし、2023年度は、データを活用したビジネス課題解決のための課題整理ワークショップを本格的に開始するほか、2023年度上期には、Qanat Universeによるデータ連携基盤を発表する予定である」とした。
新たに提供するデータ連携基盤は、顧客の環境と、Google Cloud Platform(GCP)およびMicrosoft Azure間のファイル転送をVPNなしで安全に通信できるとともに、オンプレミス側のデータ生成をQanat Universeの機能によって不要にできることから、クラウドへのデータアップロードが容易になり、データ収集や連携を迅速に実現。データ活用統合データベースを構築して、AIの活用も容易にできるという。
セキュリティについては、システム全体やインターネット公開IT資産、ウェブアプリ、ゲートウェア、ネットワークを対象にした「見える化サービス」を提供。770社以上に導入しているほか、「マネージドサービス」では、1110社の37万台のデバイスを対象に24時間365日の体制で運用監視を実施していることを示した。
JBCCホールディングスの内田取締役は、「大規模インシデントが発生した際に、高度エンジニアにより、原因をわずか2日間で特定した例がある。業界トップクラスの資格を有したエンジニアが、マルチクラウドやオンプレミス環境の包括的なセキュリティ対策を提供でき、それぞれの環境に最適なセキュリティ対策が行えるのが強みである」とした。
2023年度にスキルアップ専門部門を新設し、現在、300人のインフラSEのうち、セキュリティ対応SEの比率を60%以上とするほか、セキュリティエキスパートやセキュリティアーキテクトといった高度エンジニアの比率を10%以上に高める計画を打ち出した。
さらに、独自ソフトウェアによるクラウドデータ連携の累計契約本数は、2021年度の706本から、2022年度には2321本へと急増したことを示しながら、「勘定奉行や楽々精算などとのデータ連携が可能になる。1本あたりの金額は小さいが、今後、飛躍的に伸ばしていく」(東上社長)と語った。