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JBCCホールディングスが2024年度連結業績を発表、3期連続の増収増益で過去最高益を更新

中期経営計画「CHALLENGE 2026」では2026年度の数値目標を上方修正

 JBCCホールディングス株式会社は13日、2024年度(2024年4月~2025年3月)の連結業績を発表。売上高は前年比7.2%増の698億6800万円、営業利益は同39.2%増の61億5500万円、経常利益は同38.8%増の63億1400万円、当期純利益は同44.4%増の46億300万円となった。

2025年3月期 連結概況

 JBCCホールディングスの東上征司社長は、「かつての決算発表会見で、増収増益を繰り返し、過去最高益を継続できる足腰の強さがあると宣言したが、それを成果として示すことができた。3期連続の増収増益であり、過去最高益を更新した」と総括。2024年度は、3カ年の中期経営計画「CHALLENGE 2026」の初年度にあたるが、早くも2026年度の数値目標を上方修正したこともあわせて発表した。

JBCCホールディングス 代表取締役社長の東上征司氏

 また、「クラウド、セキュリティ、超高速開発に加えて、上期にハードウェア刷新需要が発生したシステムが想定以上に伸びたこと、従業員が自由に選択できる旅行補助制度を用意し、それに関連して販売管理費の良化がプラスに働いた」と語ったほか、業績にマイナス影響を与えていた主要プロジェクトが第3四半期に完了したこともプラスに影響。注力事業であるクラウド、セキュリティの受注が業績に貢献したほか、付随する導入および移行サービスも好調だったという。

決算ハイライト

 事業セグメント別では、情報ソリューションの売上高が前年比7.4%増の678億9500万円、売上総利益が同9.2%増の197億6200万円、売上総利益率は29.1%となった。

 そのうち、SI(超高速開発)の売上高が前年比4.7%減の170億8600万円、売上総利益が同10.2%減の52億7600万円、サービス(クラウド、セキュリティ)の売上高が前年比18.1%増の386億4700万円、売上総利益が同24.2%増の119億3700万円、システムの売上高が前年比3.3%減の121億6100万円、売上総利益が同2.4%減の25億4800万円となった。

業績概要 | 2025年3月期 事業セグメント別

 SI(超高速開発)では約20プロジェクトが同時に進行。また、富士通のメインフレーム撤退にあわせて、20億円を超える大型モダナイゼーション案件が5件進行しており、強い需要が継続しているという。

 「2027年度半ばまでは、すでにモダナイゼーションの案件を獲得しており、新規案件の獲得はそれ以降になるのが実態」だという好調ぶりだ。また、電子カルテや医事会計を中心とする病院情報システムの導入が進んでおり、医療DXにおける成果も強調した。

システム開発(SI)の概況

 また、製品開発製造の売上高は前年並みの19億7200万円、売上総利益が同5.9%減の12億900万円となった。「クラウドサービスは堅調に進んでいるが、プリンタは徐々に減少している」という。

 一方、2025年度(2025年4月~2026年3月)の連結業績見通しは、売上高が前年比2.3%増の715億円、営業利益は10.5%増の68億円、経常利益は9.3%増の69億円、当期純利益は4.3%増の48億円とした。

 「人材への投資を計画的に実施することで、販売管理費が増加するため、営業利益の伸び率が10.5%増となる」とした。

業績予想 | 2026年3月期 連結予想

中期経営計画「CHALLENGE 2026」の進捗状況は?

 中期経営計画「CHALLENGE 2026」の進捗状況についても触れた。

 「CHALLENGE 2026」では、事業構造の変革を加速。売上高に占めるストックビジネス比率を2023年度の40%から、2026年度には60%に高め、同時に営業利益率を7%から10%に高めるほか、経営基盤の強化および高度化として、外部人材の獲得やガバナンスの強化を推進。サステナビリティへの取り組みでは、4つのマテリアリティに対する活動を進めている。

中期経営計画 進捗状況 | 全体像

 2024年度実績で、ストックビジネス比率は46%となり、計画よりも1ポイント少ないが、売上高が想定よりも20億円増加したことが影響したものと説明。2025年度は53%にまで引き上げる計画だ。

 新たに発表した上方修正後の「CHALLENGE 2026」の経営指標は、2026年度の売上高を720億円以上から、745億円以上へと上方修正。さらに、営業利益率は10%以上を11%以上に、ROEは17%以上から20%以上に修正した。

 JBCCホールディングスの東上社長は、「継続的な増収増益を達成し、毎年過去最高益を継続していく」と成長戦略に自信をみせた。

 各セグメントにおける進捗状況についても説明した。

 注力事業であるクラウドについては、「市場全体の成長が17%と推定されているのに対して、JBCCホールディングスでは3倍弱となる47%増と高い成長を遂げている。IaaSおよびSaaSが成長している。中期経営計画では、ターゲットとする企業を、年商500億円~2000億円規模の中堅企業へとシフトしたが、その成果も出ている。また、これらの規模のユーザーでは、VMwareの値上げの影響が大きく、そこへの提案、実装を進めている。早い段階からエンジニアへの投資を進め、マルチクラウド化に取り組んでおり、柔軟なインフラ構成と、適正な価格での提案が可能である点が他社にはない強みになっている。さらに無料で診断サービスを提供しており、システムの適正化を提案している。診断の結果、一次的に売り上げは落ちるが、長年に渡る信頼関係を構築できる点に大きなメリットがある。お客さまに伴走することを重視している」と述べた。

中期経営計画 進捗状況 | 注力事業「クラウド」の概況

 セキュリティについては、過去最大の新規受注を獲得しており、中堅企業や大手企業を中心に、案件の大型化が進んでいるという。その結果、市場全体では7%の成長率に対して、JBCCホールディングスでは約5倍となる35%増を達成しているという。

 「これまでに導入したセキュリティをすべて入れ替えるという提案をするSIerが多いと聞くが、JBCCグループでは、これまでに投下した資産を守りながら、数年間をかけてセキュリティを強化していく提案をしている。この点が評価されている」などと述べた。

中期経営計画 進捗状況 | 注力事業「セキュリティ」の概況

 超高速開発では、遅延プロジェクトが完了したことで、「業績が復調し、巡行速度を取り戻した」と自己評価。「ターゲットとする企業のサイズが大きくなると、プロジェクト案件が大きくなり、求められる質も高くなる。エンジニアをさらに鍛えて、業界ノウハウや開発ノウハウを共有することが必要になる。同時並行で進んでいる20件のプロジェクトが確実に稼働することに注力している」と述べた。

 また、「大型プロジェクトが進行し、ある程度のめどが見えると、お客さまとの信頼関係が生まれ、次の開発案件の相談を受けるといったケースが多い。超高速開発手法であるJBアジャイルのメリットを理解してもらい、今度は周辺システムの刷新や新規開発に活用したいという声があがっている。ニーズは旺盛である」とも語った。

中期経営計画 進捗状況 | 注力事業「超高速開発」の概況

 なお、先行きの不透明感を背景にしたIT投資への影響については、「現時点ではIT投資を様子見したいという声はない」とした。

 一方、2024年9月から、新たな人材戦略を推進。JBCCグループの未来をつくる「価値創造型人材」の採用、育成、配置のほか、従業員エンゲージメントにも戦略的に取り組み、持続的な事業の成長と企業価値の向上を実現しているという。2025年度は72人の新卒者の採用を行うほか、キャリア採用では前年比3.2倍のエントリー実績があり、年間50人程度を採用しているとした。

 さらに、社員を対象にしたリクルーター制度やリファラル制度の導入も成果が出ているほか、JBCCアカデミーにより、社内外向けの講座を実施していることも人材獲得にプラス効果が生まれているとしている。