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NTTデータ、ServiceNowを活用して医薬品の出荷判定業務を支援するシステムを大塚製薬に導入

 株式会社NTTデータは11日、大塚製薬株式会社の医薬品製造プロセスにおける出荷判定業務を支援するシステムを開発したと発表した。システムは2023年4月から、大塚製薬の国内6カ所全ての医薬品製造工場で本格運用を開始した。

 2021年8月に改正された「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(以下、GMP省令)」では、経営陣の責務、品質保証部門の業務、製造所からの出荷の管理、データインテグリティ、変更管理/逸脱管理などについて、より具体的に言及されている。その結果、医薬品の製造管理および品質管理を行うための「実行性のある医薬品品質システム」の構築が必要となり、製薬業界における品質保証業務は、改正GMP省令やグローバル市場への拡大を契機とした海外規制への対応のため、これまでよりもさらに高い水準が求められているという。

 こうした背景から、NTTデータは大塚製薬と共同で、出荷判定の業務負荷を軽減し、より高い水準での品質保証が確実に実施できるように対応したコンピューター化システムを開発した。システムは、統合型プラットフォーム「ServiceNow」を活用して、社内の複数ITシステムを連携し、出荷判定製品のロットにひもづく製造記録や品質試験記録の照査結果など、品質に影響する各種イベント情報を一元管理する。

 システムの導入により、出荷判定業務における確認作業の確実性を向上させ、一元管理による情報収集作業の効率化を実現。必要な情報をすぐに検索して閲覧できるだけでなく、出荷判定に関わる各業務の従事者が同じプラットフォームにアクセスできるため、部門を横断する業務でもプラットフォームを介して完了させられる。さらに、出荷判定製品の関連情報を集約し、一気通貫の業務が可能となるため、製造プロセスの透明性向上につながり、属人的な作業から脱却することでヒューマンエラーの抑止にも貢献する。

 システムは、ヘルスケア領域で多数の実績を持つServiceNowを活用し、医薬品の安全性を守るための規制を順守するためのユーザービリティやセキュリティを考慮した設計となっている。既存のシステムに大きく手を加えずに連携をしているため、現行業務への影響を最小限にとどめられ、また、ローコード/ノーコードでの開発を実現しているため、今後の法改正やシステム改良にも柔軟に対応できるとしている。

 NTTデータでは、今回の出荷判定業務支援システムを通して、品質保証の確実性向上および業務の効率化に加え、医薬品の製造過程の透明性を確保し、信頼できる医薬品を医療機関や患者へ届けることが可能になると説明。製薬業界における出荷判定業務の支援に必要な基本機能を備えたサービスとして、クラウド経由で提供し、製薬企業の同様の課題解決を通じて、業界全体の業務効率化、より安心な医薬品の流通に貢献するとしている。