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両備システムズ、千葉県佐倉市にてガバメントクラウド上で「健康かるてV7」を初稼働

 株式会社両備システムズは7日、千葉県佐倉市との連携で、健康管理システム「健康かるてV7」をガバメントクラウドへ移行し、運用を開始したと発表した。また、この実績をもとにした自治体システム標準仕様対応の「健康かるてV8」を2023年夏に製品化。今後、全国の自治体に展開し、2025年度末までに800団体への導入を目指す計画を明らかにした。

 両備システムズ ヘルスケアソリューションカンパニー 健康ビジネス事業部の青木勉事業部長は、「政府が推進している『自治体情報システム標準化に伴うガバメントクラウド先行事業』において、佐倉市や関係機関との協力により、『健康かるてV7』をガバメントクラウドに移行し、2023年1月から運用を開始している。健康管理システムをガバメントクラウドで稼働させるのは、今回の『健康かるてV7』が日本で初めてのことになる」とした。

両備システムズ ヘルスケアソリューションカンパニー 健康ビジネス事業部の青木勉事業部長

 政府では、「自治体システム標準化法」(地方公共団体情報システムの標準化に関する法律)に取り組んでおり、2025年度までに、自治体の基幹系20業務システムをガバメントクラウド上に構築した標準準拠システムに移行する方針を掲げている。各自治体は努力目標として、これに取り組んでいるところだ。

地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化とは?

 対象となる基幹系20業務システムのなかには、総務省所管の住民記録システムや税務システム、法務省所管の戸籍システム、文部科学省所管の就学システム、内閣府所管の児童手当システム、厚生労働省所管の国民健康保険システム、国民年金システムなどがある。両備システムズの「健康かるてV7」は、20業務システムのひとつである、厚生労働省所管の健康管理システムに対応したものとなる。

地方公共団体の基幹系20業務システムとは?

 佐倉市は、先行事業の対象団体として採択された8団体(11自治体)のひとつで、先行事業では、後続の自治体が安心してクラウド環境上で運用できる指針を作成すること目指し、検証で得られた結果から課題を整理する役割も担う。

 両備システムズは、協力開発事業者(アプリケーション開発事業者)として、佐倉市の先行事業に参画している。

 なお佐倉市では、日立システムズとの連携により、同社の自治体向けソリューション「ADWORLD」などで提供していた27の基幹業務システムを、ガバメントクラウドに移行し、運用を開始したことも発表している。

ガバメントクラウド先行事業とは?

 一方、両備システムズの「健康かるて」は、市区町村向け健康管理システムとして、1987年に初版が開発されて以降、現在で7世代目となり、全国694の自治体が利用。約40%のシェアを占め、この分野ではトップシェアを誇る。出生から介護までのデータ管理と、保健事業を支援する多種多能な機能を用意しており、地域保健や地域看護の観点から、「みる・つなぐ・動かす」をコンセプトに開発しているのが特徴だ。

 「北海道から沖縄までの全国の自治体に導入されており、人口数100人の村役場から政令指定都市まで、幅広く利用されている。日本全国で販売、サポートできる体制を整えており、自治体の現場から声ももらい、それをもとに進化をさせてきたシステムである」とする。

健康管理システム「健康かるて」

 現行の「健康かるてV7」では、健康管理システムの標準化対象業務である母子保健、予防接種、がん検診、保健指導においてガバメントクラウドに対応。今回の先行事業を通して、ガバメントクラウドでの検証が完了しているという。

 さらに、2023年夏には、新製品として「健康かるてV8」をリリースするとともに、これを先行モデル自治体で稼働させる予定だ。

 「健康かるてV8」では、ガバメントクラウドの単独利用方式および共同利用方式の双方に対応。可用性やセキュリティといった非機能要件への対応だけでなく、健康かるてV7では対応していなかった標準化における機能要件にも対応することで、標準準拠システムとしての導入が可能になるという。

標準仕様対応の健康管理システム「健康かるてV8」

 また両備システムズでは、健康管理システム以外にも標準準拠システムを提供する考えも明らかにした。

 両備システムズの青木事業部長は、「両備システムズの地方公共団体向けソリューションは、『豊かな地域社会の実現に貢献』を基本コンセプトに、地方公共団体の基幹業務システムだけでなく、クラウド関連サービスやBPOサービスなど、自治体職員、住民向けの多様なソリューションを展開している。今後は、自治体システム標準化に向けて、基幹系20業務システムにおける標準準拠システムも提供したいと考えている。これにより、ガバメントクラウドの活用推進とともに、運用管理補助業務も提供するほか、クラウドサービスやBPOサービスなどの基幹系20業務システム以外の自治体DX向けソリューションも提供していくことになる。さらに、DXを推進する人財を育成し、自治体DXをともに創り、ともに挑みたいと考えている。健康で明るい社会づくりに貢献したい」などと述べた。