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Sansan、法人カード「Bill Oneビジネスカード」を提供 利用明細と証憑の照合を自動化

すでに200社への導入が決定

 Sansan株式会社は30日、インボイス管理サービス「Bill One」のオプションサービスとして、法人向けクレジットカードの「Bill Oneビジネスカード」を発表した。6月1日より提供を開始する。

 Bill Oneビジネスカードは、Bill Oneを契約中のユーザー企業であれば初期費用や年会費、発行手数料は無料。バーチャルカードとリアルカードの2種類があり、バーチャルカードは即座に発行してオンラインで利用できるほか、リアルカードは飲食店など実店舗での支払いが可能だ。Bill Oneのユーザー企業はシステム上で枚数の制限なくカードが発行でき、1カ月あたりの利用限度額は最大1億円となっている。

Bill Oneビジネスカード
Bill Oneユーザーは無料で利用可能

 Sansan 執行役員/Bill One Unit ゼネラルマネジャーの大西勝也氏は、「法人カードは利用者にとっては便利だが、経理担当者にとっては三重苦となる業務課題が発生する」と話す。その三重苦とは、法人カードの管理における証憑(領収書や請求書)の回収や目視での確認といったアナログ業務、インボイス制度および電子帳簿保存法への対応、そして不正利用リスクへの対応だ。こうした三重苦を解決するのがBill Oneビジネスカードだという。

Sansan 執行役員/Bill One Unit ゼネラルマネジャー 大西勝也氏

 Bill Oneビジネスカードでは、まず、カードの利用明細と証憑の照合が自動化できるという。カードが利用されると、利用者に対してBill Oneから自動で証憑アップロードの依頼が届く。Bill Oneにアップロードされた証憑は、翌営業日中にデータ化され、カード利用明細の金額と合致しない場合はアラートが表示されるため、これまで経理担当者が目視で行っていた照合作業の効率化が可能だ。このアラート表示は、Bill Oneビジネスカードならではの機能で、現在特許申請中だという。

Bill Oneビジネスカードでデジタル化による業務効率化を実現

 今後は紙の領収書をスマートフォンのカメラで撮影し、Bill Oneにアップロードできるような機能も開発中で、「この機能を使えば複数の領収書を一括で撮影してアップロードできるようになる」(大西氏)とした。

 また、インボイス制度への対応については、カード利用後に受け取った証憑が適格請求書かどうか確認できる機能を、10月の制度開始までに実装する予定だ。カード利用後に提出された証憑は、電子帳簿保存法の要件を満たした形で保存される。

インボイス制度、電子帳簿保存法に対応

 そして不正利用のリスクに対しては、利用するカードごとに利用上限額や利用可能期間の制限を設けるほか、特定ジャンルの利用先を排除することなどで対応する。今後はカードごとに利用先を1カ所のみに限定する機能も実装する予定。カードの利用状況はリアルタイムでBill One上に連携されるため、不正利用の検知も可能だとしている。

不正利用リスクを低減

 カードの発行や利用は無料だが、同サービスにはSansanの収益化につながるポイントが2つあると大西氏は説明する。ひとつは、一般的なクレジットカードと同様、加盟店などから支払われるカードの利用手数料。そしてもうひとつは、Bill Oneによるデータ化の料金だ。Bill Oneは、データ化する請求書の枚数に応じて料金が決まるビジネスモデルだが、「カードの証憑も請求書と同じ扱いとなるため、請求書のデータ化料金にカード証憑のデータ化料金が上乗せされる。これにより、Bill One全体の売上高の増加が見込める」(大西氏)としている。

 Sansan 代表取締役社長/CEOの寺田親弘氏によると、「Bill One」は2020年5月のリリース以来、3年間でのARR(年間経常収益)が27億円で、導入企業数は1300社、請求書の総請求金額は年間16兆円規模に達しているという。「このスピードは脅威的で、企業が経理業務のデジタル化に対して非常に興味を持っていると感じる」と寺田氏は語る。

Sansan 代表取締役社長/CEO 寺田親弘氏

 Bill Oneビジネスカードも、すでに200社が導入を決めている。大西氏は、「導入決定した200社が、Bill Oneビジネスカードを使って支払う予定の金額は月間合計6億円。この金額を1年後には月間50億円、つまり年間600億円まで増加させたい。新たに法人カードの機能を備えたことで、来期末のBill OneのARRは、今期末目標の倍となるARR600億円以上を目指す」と述べた。

200社がすでに導入を決定
Bill Oneビジネスカードの今後
Bill One事業の今後