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NTT西日本グループとサムスン電子、ローカル5Gを活用した高性能マルチメディア無線通信システムの共同実証を実施

 NTTビジネスソリューションズ株式会社、サムスン電子株式会社、西日本電信電話株式会社(以下、NTT西日本)の3社は21日、NTT西日本のオープンイノベーション施設「QUINTBRIDGE」に構築したローカル5Gオープン実証環境を活用して、ローカル5Gの特長を生かし、高速・効率的で利便性に優れた、プライベートネットワーク内マルチメディア無線通信の共同実証を実施すると発表した。実証期間は、2022年12月21日から2023年5月31日。

 ローカル5Gは、安定した大容量通信とセキュリティの高さを特長に持ち、用途に合わせて柔軟な設計が可能なプライベートネットワークであり、多様な業務環境でのDXを支えるネットワークとして期待されている。しかし、現時点では、ローカル5Gでの利用に対応した端末が少ないことや、導入コストが高額であること、導入に専門的な無線知識を要することなどから、普及は限定的となっているという。

 こうした背景を踏まえ、NTTビジネスソリューションズでは、2022年6月30日からサブスクリプション型で導入コストが安価なローカル5Gサービスを提供しているが、これに加えて、ローカル5Gの導入を検討している顧客や、システム・アプリケーション開発ベンダーに対して、ローカル5Gシステム導入の運用実証や各種アプリケーションの動作検証を容易に実施できる、オープン実証環境の提供を開始すると説明。実証環境の活用におけるファーストケースとして、サムスン電子が開発した高機能マルチメディア無線通信システムについて、ローカル5Gプライベートネットワーク環境での動作検証を目的とした共同実証を行う。

 実証は、NTT西日本のオープンイノベーション施設であるQUINTBRIDGEに、NTTビジネスソリューションズが構築したローカル5Gのオープン実証環境に、サムスン電子の高機能マルチメディア通信システム「Mission Critical Push-to-X(以下、MCPTX)」を接続し、ローカル5Gプライベートネットワーク環境で、各種端末間メディア通信機能の動作・性能検証を実施し、商用システムとしての実証を行う。

 MCPTXは、1対1もしくは1対多数のコールで、音声、ビデオ、画像データなどの通信を行うマルチメディア無線通信システム。MCPTXでは、コールごとに優先順位・品質を柔軟に設定でき、緊急性の高い通信情報を迅速かつ確実に1つまたは複数の通信先へ届けられる。こうした特長から、MCPTXは、モバイルキャリアネットワークをベースとし、警察、消防、救急医療などに従事する、現場スタッフとコールセンターを結ぶ通信システムとして、緊急情報の一斉通知、音声+ビデオによる緊急連絡などに活用されている。

 こうしたMCPTXの特長は、ローカル5Gプライベートネットワークの活用が想定される港湾や空港、大規模工場・プラントなどで業務に従事するスタッフ間の連携においても有用だとしている。例えば、港湾などにおいては、スタッフ間の通話のためにトランシーバーを用い、作業データの送受信するためにタブレットやスマートフォンを活用しているのが現状だが、各スタッフが業務通信のため複数の端末を所持する必要があり、作業が非常に煩雑になることや、同時並行で各端末を操作することによる危険作業が問題となっているという。

 こうした課題に対して、ローカル5GとMCPTXを活用すれば、端末を一つに集約できる上、適切な優先制御により、緊急性の高いコミュニケーションを迅速かつ確実に行える、効果的な広域プライベート通信環境が実現できるとしている。

港湾エリアで想定される導入効果(イメージ)

 これらの観点を踏まえ、今回、ローカル5Gオープン実証環境において、サムスン電子のMCPTXの動作検証を実施し、ローカル5Gプライベートネットワークを活用して、広域エリアでの高度な通信を支援する先進的ソリューションの具現化を目指すとしている。

 NTT西日本グループとサムスン電子は、今回のローカル5G環境におけるMCPTXの共同実証後、特にシステムのユースケースとして想定している港湾、大規模工場・プラントなどへの実導入に向けた取り組みを進めていくと説明。また、ローカル5Gオープン実証環境は、QUINTBRIDGE共創パートナー(法人会員)に活用できるようにして、さまざまなパートナーとローカル5Gサービスのユースケース具体化および事業展開を推進していくとしている。