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大林組とNEC、バックホウ自律運転システムを強化 屋内外を問わず多様な建設現場への適用が可能に

 株式会社大林組と日本電気株式会社(以下、NEC)は28日、共同開発した「バックホウ自律運転システム」を改良したと発表した。各種センサーやカメラをバックホウに設置することで、屋内外を問わず、多様な建設現場へ適用範囲を拡大したという。

 両社では2019年に、土砂の積み込み作業を自動化するバックホウ自律運転システムを共同開発したが、従来のシステムでは、バックホウの作業場所は、トンネル工事現場など、固定化された建設現場を対象としており、バックホウの動きや盛り土の掘削・積み込みポイントを算出するための各種センサー、カメラを、トンネルの天井などに固定していた。

 これに対して今回開発された新システムでは、認識機能が高度化されたセンサーやカメラをバックホウに設置することで、移動をしても、姿勢・位置や周辺環境から掘削ポイントや積み込みポイントを正確に判断できるようになった。これにより、屋内外を問わず、状況が変化する多様な現場環境においても、従来と同様の精度で自律運転を行えるという。

バックホウに設置されたセンサーやカメラ

 また、NECの適応予測制御技術を活用し、地表面の土砂のみを対象とした掘削制御技術を開発。盛り土工事や造成工事における土砂の積み込み作業の自律化を実現した。

 さらに、従来はあらかじめ堆積された土砂の積み下ろしだけに対応していた機能を拡張。任意の地点に運搬され積み下ろされた土砂の積み替え作業や、積み下ろし場所の清掃作業を自律化する制御技術の開発により、自律運転で行える作業内容が増え、現場労働者の作業の負荷軽減・省力化を支援できるとしている。

 このほか今回は、自律運転を外部からの指示によって実行し、他の自動化・自律化重機と連携するために、建設FMSなどの管理システムとの連携インターフェイスを開発した。バックホウの制御と並行して建設FMSからの指示を処理できるため、自律運転を妨げることなく他の重機との連携を行える。

 なお同システムは、大林組が実施した、福島県飯舘村における建設機械の自動・自律運転の現場実証にて適用されたとのことだ。