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バックホウ自律運転システムをトンネル工事現場の土砂の積み込み搬出に適用、大林組・NEC・大裕の3社が実証実験

 株式会社大林組、日本電気株式会社(以下、NEC)、大裕株式会社は13日、共同開発した「new windowバックホウ自律運転システム」を、トンネル工事現場にて土砂の積み込み搬出に適用する実証実験を行ったと発表した。

 3社では2019年に、センシング技術とそれらを統合管理する「ネットワークドコントロールシステム」や、NECの「適応予測制御技術」、大林組と大裕が共同で開発した、メーカーや機種を問わず対応可能な汎用遠隔操縦装置「new windowサロゲート」を活用して、バックホウ自律運転システムを開発している。

 今回は同システムにおいて、大林組が施工するトンネル現場において、複数台の異なるメーカーのバックホウが、土砂ピット内に堆積(たいせき)した土砂を掘削しダンプトラックに積み込む一連の作業を、自律運転にて実施した。自律運転は、ダンプトラックの運転手が現場に備えつけたボタンを押すことで開始され、一定量の積み込みが完了すると自動で停止するため、その間は人手による作業が発生しないという。

 また自律運転中は、遠隔地から1人のオペレーターが、各種センシング情報をリアルタイムで監視するとともに、現場のカメラ映像や作業音などをもとに、いつでも遠隔操縦に切り替えられる体制を整備することで、複数台のバックホウを1人が同時に管理できるようにし、バックホウに搭乗するオペレーターの省人化を実現したとのこと。

 あわせて、従来は人手で行っていた作業を自律運転で実施するため、センサーを活用してピット内の土砂形状をもとに、土砂を最適な位置にかき寄せる機能や、掘削したバケット内の土砂体積を推定する機能を開発。制御に組み込むことにより、搬出時の総重量を目標値の98~100%の精度で積載できたとのこと。

 さらには、バックホウの動作を高精度に制御し、正確な掘削作業と公道運搬に適した荷姿に整形するなど、一連の作業を通じて、単に同じ動作を反復するのではなく、人手と同等の作業を実現。ベッセル(荷台)の形状を深度カメラで認識し積み込みを制御する仕組みも搭載しており、あらゆる形状のダンプトラックに適応可能にした。

 今後は、施工現場への実適用を図るほか、台数を増加させることによる、さらなる生産性向上や、屋外環境への対応、ほかの建設重機との連携といった技術の拡張に取り組む予定だ。

バックホウ自律制御システム概観
自律運転中のシステム管理画面