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IIJ、「松江データセンターパーク」にシステムモジュール棟を新設、2025年5月運用開始予定

 株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は17日、島根県松江市で運用している「松江データセンターパーク(以下、松江DCP)」内に、システムモジュール棟を新設すると発表した。2024年2月に着工し、2025年5月に運用を開始する予定。

 新たに建設するシステムモジュール棟は、建築面積約2000㎡、300ラック規模のキャパシティを有し、需要が拡大しているIIJクラウドサービス用の設備収容スペースとして活用していくとともに、デジタル田園都市国家構想の目的の一つである「地方デジタル基盤の整備」を実現するデータセンターとして、地域のネットワークインフラ強靭化にも寄与していくとしている。

 同事業は、総務省の令和3年度補正予算「データセンター、海底ケーブル等の地方分散によるデジタルインフラ強靱化事業」の助成対象として採択され、実施する。

 松江DCPは、IIJが2011年4月に開設した、外気冷却機構を採用するモジュール型データセンター。IIJのDC運用のノウハウを集積して開発したコンテナ型ITモジュール「IZmo(イズモ)」による、低コストで高いサーバー収容効率、容易なスケールアウトを実現したデータセンターで、2019年5月には、松江DCPで培ったエネルギー効率化技術や運用経験を生かした、システムモジュール型工法の「白井データセンターキャンパス(以下、白井DCC)」を、千葉県白井市に建設し、運用している。

 IIJでは、松江DCPと白井DCCは、IIJのクラウドやネットワークサービスの設備基盤や、顧客からIT機器を預かるコロケーションサービスの拠点として活用しているが、自社クラウドサービスの需要は継続して増加しており、さらにBCP(事業継続)用途としてのコロケーションサービスの利用も広がっていると説明。一方、政府が推進するデジタル田園都市国家構想のもと、データセンターの地方分散が推進され、地方の中小・中堅企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)や観光DXなど、デジタル実装の取り組みが活性化し、地域DCへのニーズも高まっているとしている。

 こうした状況の中、現在約500ラックある松江DCPは2025年度中に満床となる見込みであることから、今回新たにコンテナ型モジュールより収容効率の高い「システムモジュール棟」を建設することにしたとしている。

 システムモジュール棟は、空調設備として、消費電力を少なくする「外気冷却空調方式」および効率的に空調搬送できる「壁吹き出し空調」を採用。併せて、電気設備には三相4線式UPSを採用して電気損失を低減することで、業界最高水準のPUE「1.2」という実績を今後も継続し、サービス価値向上とともに社会的な責務を果たしていくとしている。

 また、白井DCCではロボット技術を応用して、データセンターの運用自動化を推進しており、その先行実績を生かして、松江DCPでもロボット技術によるデータセンターの設備巡回の導入と実証を進める。DC運用業務の自動化とともに、DC利用者の手間となる入館手続きの自動化や省人化も推進する。

 松江DCPでは、2022年2月から実質再生可能エネルギー由来の電力を導入し、カーボンニュートラルのモデルケースとなるデータセンターを目指している。今後は、オンサイトメガソーラー発電設備の併設や、オフサイト発電設備からの電力調達など、カーボンニュートラルデータセンターの実現に向けた取り組みを強化していくと説明。将来的には、データセンター内の発電/蓄電設備などを活用し、自治体、地域企業と連携して電力を地産地消するマイクログリッドを構築し、地域のレジリエンス強化、カーボンニュートラルなど社会課題の解決を目指すとしている。