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NTT、4コアマルチコア光ファイバーを用いた192心の海底ケーブルシステムを開発
通信用光ファイバー1本で従来の4倍の伝送容量を実現
2026年3月16日 06:00
NTT株式会社は、通常の光ファイバーケーブルの4倍の通信容量を実現する、4コアのマルチコア光ファイバー(MCF)による海底ケーブルシステムを開発したと3月13日に発表した。2029年ごろの海底ネットワークへの実用展開を目指す。
現在の光ケーブルでは、1本の海底ケーブルに光ファイバー最大48心を収めており、この心数が限界となっている。そこで、従来と同じ光ファイバーのガラス(クラッド)の中に、4つのコアを搭載することで、4コア×48心で最大192心を実現する。
MCFでは、コアが近すぎるとクロストークなどが発生する課題がある。それを問題になるレベル以下に抑えるコア間距離の設計と、それを保つ製造技術をそろえたうえで、伝送品質が問題ないことを性能評価したと、NTTネットワークイノベーションセンタ アクセスインフラプロジェクト 主任研究員 飯田裕之氏はオンライン記者説明会で語った。
このMCF技術自体は2017年にNTTが発表し、2024年には建設・運用・保守技術をラインアップ化したことを発表している。
今回は、MCFに加え、海底MCFケーブルを従来の1コア光ファイバーの陸上ケーブルと接続するジョイントボックス、海底で海底MCFケーブル同士を接続するジョイントボックス、海底ケーブルを通信局内で配線して既設の従来光ファイバーと接続する成端架(専用ラック)という、海底ケーブルとして商用導入するための物品ラインアップも開発した。そして、これがすべて商用利用に十分な性能(光学特性・機械特性・機能)を達成することを検証した。
なお飯田氏によると、今回のMCFは複数のコアがそれぞれ独立した非結合型のため、「4コア専用の伝送装置を新規に開発する必要はなく、従来装置を並列に組み合わせて利用できるのがよい点」という。
NTTのIOWN構想の大容量光伝送基盤を実現する要素技術の1つとしてMCFの研究開発を進めている。その通信ネットワークへの商用導入として、5Gや生成AI、動画視聴などによる通信需要の増加に対応するための容量拡大が求められている海底ケーブルを、海底ケーブルへの適用を検討先の1つとして進めてきた。
海底ケーブルの敷設には、敷設ルートの海洋調査からケーブルの設計・製造、敷設船によるケーブル敷設工事まで多くの工程が必要となり、多大なコストを要する。そこで、海底ケーブル1本あたりの通信容量を4倍に拡大できれば、敷設コストを従来の4分の1に削減できる。
また、海底ケーブルは、水深8,000mの超高圧に耐える耐圧性や、25年以上の長期運用を前提とした信頼性および敷設船等の設備インフラへの適合性をすべて満たすよう設計・製造されており、ケーブル径を太くすることで光ファイバーの収容数を増やすことは困難だ。
これらの背景から、既存の海底ケーブル構造を変えずに通信容量拡大を実現するMCFの活用をNTTは目指している。




