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富士通と理研、スパコン「富岳」とシミュレーション融合型AIを活用した次世代IT創薬技術の共同研究を開始

 富士通株式会社と国立研究開発法人理化学研究所(以下 理研)は17日、創薬分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させ、創薬プロセスにおける新領域の開拓と開発期間や費用の劇的な削減を目指し、スーパーコンピュータ「富岳」を活用した次世代IT創薬技術の共同研究を開始すると発表した。

 富士通と理研では、新型コロナウイルス感染症などの未知の病気に対するワクチンや新薬開発では、薬効が高く副作用が少ない中分子薬や高分子薬の開発も強化されていると説明。中・高分子薬の創薬プロセスでは、IT活用による効率化が求められており、富士通と理研の創薬分野における最先端のシミュレーションおよびコンピューティング・AI技術を融合させることで、ターゲットとするタンパク質と薬剤候補分子の未知の複合体構造の予測を可能とし、創薬プロセスにおける新領域の開拓と開発期間や費用の劇的な削減を目指した共同研究を開始するとしている。

 共同研究では、複雑なデータから定量的特徴を教師データなしで正確に獲得する富士通のAI技術 「DeepTwin(ディープツイン)」と、理研のAI創薬シミュレーション技術を適用した分子動力学シミュレーションなどを組み合わせたシミュレーション融合型AIを、ハイパフォーマンスコンピューティング(以下、HPC)技術と「富岳」を活用して、効果的に動作させる。これにより、分子動力学シミュレーションの高精度化と高速化を図る。

 両者は、共同研究で開発した、「富岳」を活用した次世代IT創薬技術により、中分子薬や高分子薬を視野に入れた新たなIT創薬プロセスを2026年度末までに構築し、広く製薬企業などに普及させることで、新薬開発に必要な期間や費用を劇的に削減させ、創薬分野におけるDXの実現を目指すとしている。

 また、富士通は共同研究を通じて、富士通が強みを持つAIおよびHPCを組み合わせた技術開発を行うことで、医療分野における社会問題の解決に貢献するとともに、高度なコンピューティング技術とソフトウェア技術を誰もが容易に利用できるサービス群「Fujitsu Computing as a Service(CaaS)」の、創薬分野でのユースケース創出に取り組んでいくとしている。