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富士通、データトラスト基盤「Data e-TRUST」に複数のブロックチェーンシステムを連携できる技術を統合

 富士通株式会社は15日、自律分散型社会を支える「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」のデータトラスト基盤「Data e-TRUST」に、複数のブロックチェーンシステムを容易に連携できる富士通独自の「ConnectionChain」技術を試験的に統合することで、複数の経済圏を柔軟かつ安心安全に連携できる試作環境を、富士通のグローバルパートナー共創プログラム「Fujitsu Accelerator Program for CaaS」に参画するパートナーを対象に、6月30日から提供開始すると発表した。

 富士通は、金融証券のクロスボーダー取引の効率性や安全性の向上に向けて、アジア開発銀行やブロックチェーンベンダーのConsenSys Software(以下、ConsenSys)、R3、ソラミツと共同で、2022年1月から1年間、ConnectionChain技術の実証実験を行っており、有効性確認を経て、今回の提供に至った。

「Data e-TRUST」への台帳連携機能の追加

 富士通では、異なるブロックチェーン同士を連携して情報をやりとりできる相互運用性(インターオペラビリティ)の確保を容易に実現できる、ブロックチェーン連携技術「ConnectionChain」を開発。また、ネットワークの参加者間で権利の移転を相互認証し、暗号技術を用いて実質的に改ざん不可能な形で台帳を共有するDLT基盤の台帳操作を抽象化して、デジタル資産を管理する分散型台帳を統合的に管理するオープンソースソフトウェア(OSS)の開発プロジェクト「Hyperledger Cacti」において、中核メンバーとして活動している。

 富士通の「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」では、高度なコンピューティング技術とソフトウェア技術を誰もが容易に利用できるサービス群「Fujitsu Computing as a Service(以下、CaaS)」上で、データトラスト基盤「Data e-TRUST」を提供している。今回、Data e-TRUSTに追加するConnectionChainは、複数の外部のブロックチェーンが一つの整合性を持ったシステムとしての動作を可能とする「拡張スマートコントラクト」を自律動作させる特長を有している。

 異なる種類のブロックチェーンを連携するためには、各ブロックチェーンの仕様の違いを吸収する連携部の開発が必要だが、ブロックチェーンの種類ごとに開発が必要となるため、インターオペラビリティ確保を開発テーマに、Hyperledger Foundationで活動している「Hyperledger Cacti」で開発した、多様な分散型台帳基盤へ連携するためのプラグイン(以下、Cacti-LP)を取り込むことで、この開発を効率化している。

 これにより、Hyperledger Cactiがサポートする多様なブロックチェーンへの連携が、Data e-TRUSTから可能となり、新たなWeb3サービスの構築が容易になるとしている。

 また、Hyperledger Cactiをサポートする他社ブロックチェーンから、富士通のData e-TRUSTに連携するためのCacti-LPも開発し、そのソースコードをHyperledger Cactiの開発コミュニティに寄贈した。これにより、Hyperledger Cactiを介した外部パートナー企業とのWeb3サービス提供を加速するとしている。

 富士通では今後、金融業界だけでなく、流通業界や製造業界なども含む幅広い決済などへの活用を目指し、さまざまなパートナーとの実証実験を行うことで、ブロックチェーンをはじめとするWeb3技術の社会実装をさらに進めるとともに、サステナブルな世界の実現を目指す「Fujitsu Uvance」のもと、コネクテッドな社会を実現するデジタルインフラである「Hybrid IT」を通じて新たな市場を創出していくとしている。