ニュース

シスコ、クラウド型コンタクトセンター「Webex Contact Center」を2022年度中に国内で提供

 シスコシステムズ合同会社(シスコ)は、クラウド型コンタクトセンター「Webex Contact Center」を、2022年中に日本国内で提供開始すると9月28日に発表した。日本国内に新たにデータセンターを開設する。

Webex Contact Centerを2022年中に日本国内で提供開始

CX分野をWebexの3本目の矢に

 同日開催された記者説明会で、シスコシステムズ合同会社の菊池政広氏(執行役員 コラボレーション・アーキテクチャ事業担当)は「不確実か時代を生き抜くためには、DX(デジタル変革)は待ったなし。そのうえで、EX(従業員体験)とCX(顧客体験)が必要になる」と述べ、さらにEXが高まらないとCXも高まらないと語った。

 そして菊池氏は、これまでシスコのWebex事業は、日本市場でDXやEXに力を入れてきたとして、「3本目の矢として、CXを高める『Webex Contact Center』を日本国内で開始する」と語った。

シスコシステムズ合同会社の菊池政広氏(執行役員 コラボレーション・アーキテクチャ事業担当)
DX、EX、CXそれぞれに向けた日本でのWebex事業

日本国内ですでに8つのWebex Contact Centerの認定代理店

 これからのCXに求められるものとして、「これまではカスタマーサービスにしか注目していなかった。しかしCXでは購入前から、購入後の顧客維持まで、カスタマージャニーにわたって対応しなければならない」と、米CiscoのJamie Romanin氏(アジアパシフィック ジャパン アンド チャイナ ディレクター Webex カスタマーエクスペリエンス)は説明した。

 ここでRomanin氏は“私たちのビジョン”として、「カスタマージャーニーをよりスマートで、よりプロアクティブで、かつ、よりパーソナライズされたやり取りにすることで、顧客体験を変革する」という言葉を掲げた。

 CiscoはIMImobile社を2021年に買収し、Webex Contact Centerに統合した。これにより、自動的な対応も有人対応もいっしょにできるとRomanin氏は説明している。

 さらに顧客が、電話や、自動対応のセルフサービスなど、どのようなチャンネルでつながりたいかを選択できるとRomanin氏は説明した。電話に始まり、チャット、メール、SMS、WhatsApp、Facebook Messangerなど、チャンネルをどんどん増やしているという。

 「CiscoはかなりWebex Contact Centerに投資をしている」とRomanin氏。アジア太平洋地域でも65の認定代理店があり、日本国内でもすでに8つの認定代理店の用意ができているとのことだ。

米CiscoのJamie Romanin氏(アジアパシフィック ジャパン アンド チャイナ ディレクター Webex カスタマーエクスペリエンス)
CiscoはIMImobile社を2021年に買収
自動対応も友人対応もできる
さまざまなチャンネルでつながれる
Webex Contact Centerの世界各国のローンチ状況
アジア太平洋地域で65の、日本ですでに8つの認定代理店

Webex Devices製品群も紹介

 米CiscoのJaved Khan氏(シニア バイス プレジデント 兼 ゼネラル マネージャー コラボレーション事業担当)は、ハイブリッドワークにおけるCiscoの製品やサービスの利点として、「働き方・ワークスペース改革」「フレキシブルなワークスタイル」「顧客体験」「セキュリティと管理性」の4つを挙げた。Webex Contact Centerは、このうち「顧客体験」に相当する。

 そして「働き方・ワークスペース改革」および「フレキシブルなワークスタイル」として、2021年に刷新したビデオ会議端末デバイス「Webex Devices」製品群のポートフォリオも紹介した。

 その中で、「Webex Room Bar」を2022年10月に国内販売開始予定。小・中規模の会議室向けで、話者追尾や会議室の人数に合わせたフレーミングの機能を持つカメラと、マイク、スピーカーを備える。

 「Webex Desk Hub」も2022年10月に国内販売開始予定。フルHDのタッチスクリーンコントローラや、NFCなども備える。

米CiscoのJaved Khan氏(シニア バイス プレジデント 兼 ゼネラル マネージャー コラボレーション事業担当)
ハイブリッドワークにおけるCiscoの製品やサービス
Webex Devices製品群
Webex Room Bar
Webex Desk Hub

Webexやコンタクトセンターの事例

 Webexブランドの製品やサービスの顧客事例は、米CiscoのAruna Ravichandran氏(シニア バイス プレジデント 兼 ゼネラルマネージャー コラボレーション マーケティング統括)が紹介した。

米CiscoのAruna Ravichandran氏(シニア バイス プレジデント 兼 ゼネラルマネージャー コラボレーション マーケティング統括)

 マクラーレンのF1チームは、コロナの中でファンとのつながりを保ちエンゲージメントを高めるために、Webexを導入した。投票機能や翻訳機能など、オーディエンスのエンゲージメントを高めるWebexの機能も活用したという。

 NASDAQのコンタクトセンターは、CiscoのWebexソリューションを活用して進化した。オペレーターがどこでも仕事できるようになったほか、さまざまなツールとの連携もされた。さらに、マネージャーが簡単にカスタマイズできるシンプルさも特徴だと説明した。

 日本の長野県伊那市では、日本で初めて、路線バスを利用した「モバイル市役所」のサービスをWebexで開始した。導入前の課題としては、車を持たない住民や家庭の事情で市役所に出向くことが困難な住民にも住民サービスを提供することや、個人情報を扱うためセキュリティの高いコミュニケーションツールが必要だったとのこと。

 チューリッヒ保険グループの旅行保険会社Cover.Moreは、パンデミックによりたくさんの顧客がコンタクトセンターにコンタクトをとってきた。そこでクラウドベースのコンタクトセンターであるWebex Contact Centerを導入して、AIやデジタルチャンネルを利用して対応したという。

マクラーレンのF1チームなどの顧客
NASDAQなどのコンタクトセンターソリューションの顧客
日本の長野県伊那市の事例
旅行保険会社Cover.Moreの事例

 さらに今後提供していくものとして、2021年に発表したAR対応Web会議「Webex Hologram」や、コネクテッドカーの車内でWebexで会議するモバイルオフィスを紹介。さらに、NASAの有人月ロケットのアルテミス計画でのWebex採用などについても説明した。

これからのWebex