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パナソニック コネクト、映像制作ソリューション「KAIROS クラウドサービス」を発表

 パナソニック コネクト株式会社は10日、サブスクリプション型の映像制作ソリューション「KAIROS クラウドサービス」を6月27日より提供開始すると発表した。同社では、CPUとGPUの能力で映像処理を行うオンプレミス型のIT/IPプラットフォーム「KAIROS」を2020年より提供しており、KAIROS クラウドサービスはこれをクラウド化したものとなる。

KAIROS クラウドサービス
KAIROS クラウドサービスの詳細

 パナソニック コネクト 代表取締役 執行役員 社長・CEOの樋口泰行氏は、同サービスについて、「これまで別々に処理せざるを得なかった、カメラ撮影から制作、配信までのライブ映像制作のワークフローが、KAIROS クラウドサービスによってシームレスにつながる。クラウドというオープンなプラットフォームに映像制作のデータやアプリケーションを搭載することで、誰もがいつどこからでもリアルタイムに必要なデータや技術を利用できるようになる」と話す。

パナソニック コネクト 代表取締役 執行役員 社長・CEO 樋口泰行氏

 KAIROS クラウドサービスをリリースする背景について、パナソニック コネクト 執行役員 常務 メディアエンターテインメント事業部長の奥村康彦氏は、「昨今のメディアエンターテインメント業界は、インターネットやスマートデバイスの普及、コロナ禍によるリモートオンラインニーズなどで映像視聴スタイルの多様化が進み、映像制作需要が急拡大している。こうした市場の変化に対応するには、限られたリソースを効率的に配分しながら、さまざまなニーズに迅速かつ柔軟に対応しなくてはならない。ただ、コンテンツオーナーが自らが映像による情報発信を手がけることは増えていても、機材や技術スキルが十分でないことが多いほか、放送局や制作会社でも人員不足やスキルの偏りなどの課題を抱え、リモートプロダクションのニーズも拡大している」と説明、こうした課題を新サービスが解決するとした。

パナソニック コネクト 執行役員 常務 メディアエンターテインメント事業部長 奥村康彦氏

 同サービスの特徴は3点あると、パナソニック コネクト 現場ソリューションカンパニー 映像メディアソリューション事業本部長の梶井孝洋氏は話す。それは、1.映像制作を時間と場所の制約から解放すること、2.自由度の高い映像制作を手軽に実現すること、3.進化するサービスをいつでも利用できることだ。

パナソニック コネクト 現場ソリューションカンパニー 映像メディアソリューション事業本部長 梶井孝洋氏

 時間と場所の制約からの解放については、「これまでの映像制作では、撮影現場にさまざまな機材を持ち込み、現場で映像制作を実施していたが、KAIROS クラウドサービスはワークフロー全体をシームレスにつなぐことができるため、撮影・製作・視聴を異なる場所で実施でき、リモートプロダクションが実現する」と梶井氏。例えば、KAIROS クラウドサービスに接続するモバイルアプリケーションを使うことで、撮影した映像を自動的にアップロードし、スイッチングや映像の合成、配信後の映像確認などを、撮影現場と離れた場所で実施することが可能だという。梶井氏は、「機材の運搬や準備の時間、人の移動時間などが短縮され、業務が約30%効率化できる」としている。

時間と場所の制約から解放

 自由度の高い映像制作は、オンプレミスで培った同社独自の技術によって実現する。例えば、「さまざまなカメラの映像に多くのテロップ・動画を合成することで、幅広い映像表現が可能だ。今までの映像制作の概念を変えるKAIROSの表現力と操作性を映像制作現場で活用してもらいたい」と梶井氏は述べている。

自由度の高い映像制作をクラウド上で手軽に実現

 進化するサービスがいつでも利用可能となるのは、サブスクリプション型のサービスならではだ。梶井氏は、「継続して顧客の現場ニーズに合わせた機能を提供し、現場に最適なソリューションを拡充する」としており、その実現に向けカテゴリーの異なる2つのパートナーを2022年秋より募集するという。

進化するサービスがいつでも自由に利用可能に

 そのひとつはテクノロジパートナーだ。KAIROS クラウドサービスの映像制作ワークフローに必要な技術を連携し、サービス拡充に向け共創する企業を募集する。もうひとつはプロモーションパートナーで、KAIROS クラウドサービスを活用した映像制作現場の活性化に向け、情報発信やプロモーション活動を共同で実施する。

 樋口氏は、「パートナーとの共創により、当社だけでは提供できない新たなアプリケーションが追加でき、映像制作の可能性が拡大する。将来的には、例えばKAIROS クラウドサービスによってAIでカメラを自動制御し、映像制作を完全リモートで行うこともできるようになるだろう。インターネットを使ったライブ配信が手軽になれば、より多くの人が同じ感動や興奮を体験し、共有することが可能だ」と述べている。

 KAIROS クラウドサービスの価格は、初期費用が3万円、月額費用20万円から。さまざまなオプションも別途用意する。オプションのひとつとして、大がかりなコントロールルームを設置せずに本格的な映像が制作できるよう、ライブ映像制作に必要な機材や設備を完備したコントロールルーム「KAIROS Connect Center」を東京と大阪の2拠点に開設する。実況用のコメンタリールームも併設し、手軽にライブ配信できるようサポートするという。

価格について
KAIROS Connect Center

 今後、パートナーとの連携や継続的な機能拡充により、同社では「2026年にKAIROS クラウドサービスの販売で30億円、利用社数350社を目指す」(梶井氏)としている。