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NTT Com、データセンター利用者に再エネ電力を選択できるメニューを提供

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)とNTTアノードエナジー株式会社(以下、NTT AE)は28日、NTT Comのデータセンターを利用する顧客への新たな付加価値として、多様な脱炭素化の要望に対応した再生可能エネルギー(再エネ)を選択できる電力メニューを、4月1日に提供開始すると発表した。

 NTTグループでは、日本全体で発電される電力の1%相当を消費する企業の社会的責任として、新たな環境エネルギービジョン「NTT Green Innovation toward 2040」に基づき、グループ全体で脱炭素化の取り組みを加速していると説明。その1つとして、2030年までにNTTグループの温室効果ガス排出量を80%削減し、2040年にはカーボンニュートラル化を達成するという目標を掲げ、通信サービスとデータセンターにおいて、高効率な省エネ型設備の導入などに積極的に取り組んでいるという。

 さらに今回、自社の脱炭素化の取り組みだけでなく、顧客のESG経営に貢献する取り組みとして、データセンターを提供するNTT Com と、NTTグループのスマートエネルギー事業推進の中核であるNTT AEが連携し、データセンターにおいて顧客の要望に合わせた再エネの提供を実施する。

 NTT Comでは、NTT AEから供給される再エネを活用し、データセンターをケージまたはルーム単位で利用する顧客を対象に、顧客のICT機器が利用する電力を選択できる再エネメニューを提供するとともに、非化石証書を活用した「環境価値」として、利用の電力に関する発電所や使用電力量の情報などを個別に提供する。再エネの種類を選択できるメニューの提供および、その再エネの種類に応じた非化石証書を活用した環境価値の提供は、大規模商用データセンターとしては日本で初めてになるとしている。

グリーン電力の提供メニュー

 顧客が選択可能な再エネメニューは、非化石証書を活用した実質再エネとして、1)発電所の場所や電源種別が示されるトラッキング付き非化石証書の情報をセットにした再エネメニュー、2)さらに電源種別(太陽光、地熱、バイオマス)の指定が可能なメニュー、3)さらにFIT制度(固定価格買い取り制度)によらない非FIT指定電気が指定可能なメニュー――の3種類を提供する。

 また、新規発電所からの再エネの提供として、追加性がある発電所を顧客個別の要望に合わせてNTT AEが提供するオフサイトPPAのメニューも提供する。

環境価値の提供フロー

 対象となるデータセンターは、横浜第1データセンター、埼玉第1データセンター、東京第5データセンター、東京第8データセンター、東京第11データセンター(2022年4月時点)。

 NTT ComとNTT AEでは、今後も連携し、再エネの利用が可能なデータセンターの拡大を進める。さらに、2023年度中にはNTT Comが提供するクラウドサービスの全サービス拠点において、NTT AEによる再エネの提供が開始される予定で、主要サービスのCO2排出量可視化などにも取り組み、さらなる環境負荷の低減に向けた取り組みを進めていくとしている。

グリーン電力選択可能なデータセンターの1つである東京第11データセンター

 NTT Com プラットフォームサービス部 データプラットフォームサービス部GTM部門 担当部長の松林修氏は、「データセンターを脱炭素化して、カーボンニュートラルを達成するということが大きな特徴になりますし、それを選択できるということが、国内の事業者としては新しい点ではないかと思います。企業のみなさまが、自社でお持ちのサーバー類があるのであれば、それをデータセンターに置くだけでも省エネが推進されることにより、脱炭素にも貢献するということになります」と語った。

 また、再エネを利用した場合の料金については、個別の見積もりになるとした上で、通常の電気の導入に加えて、グリーン電力のプレミアムコストがそれぞれのメニューにかかってくると説明。ただし、1kWあたり5円や10円といったコスト増になるわけではなく、それよりは低い価格になるとした。