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富士通とレッドハット、顧客企業のDX支援事業を共同で推進

ビジネス戦略の策定から仮説検証型ビジネスの実践までを一環して支援

 富士通株式会社とレッドハット株式会社は10日、顧客企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)実現を支援するための協業を発表した。

 この協業により、顧客の経営課題の認識からビジネス戦略の策定までを支援するコンサルティングサービス、顧客のDX人材育成のためのオンライントレーニングサービス、仮説検証型ビジネスを支援するサービスを4月1日より提供する。

提供サービスの概要
左から、富士通の浦元克浩氏(理事 ジャパン・グローバルゲートウェイ本部長)、富士通の大西俊介氏(執行役員常務 グローバルソリューション部門 副部門長)、レッドハットの金古毅氏(副社長執行役員 パートナーエコシステム事業本部長)

DX/アジャイル支援モデルのためにレッドハットと協業

 同日に開催された共同記者会見において、富士通の大西俊介氏(執行役員常務 グローバルソリューション部門 副部門長)は、新サービスの背景として「企業がDXを推進するためには、これまでの経験則だけで進めるのは不可能であって、時間もかかる」と説明した。さらに、「DX/アジャイル推進の知識・経験・スキルを持つプロフェッショナルのリードや、社外からも新しい視点や発想を取り入れて変革を進めることが成功の近道と考える」と話している。

 また、それをふまえて大西氏は「富士通はお客さまのDX推進に向けて、お客さまと伴走しながら進める『ビジネスアジャイル』に取り組む」としたほか、「ビジネス領域におけるDX/アジャイル支援モデルをすみやかに確立するためにレッドハットとの協業を決定した」と語った。

 富士通では、2021年よりフロント組織とデリバリー組織に組織再編している。今回のサービスにおいても、DX/アジャイル推進リードをフロント組織、技術リードをデリバリー組織として、連携して提供すると大西氏は説明した。

ビジネスアジャイルに向けた富士通の取り組み
富士通とレッドハットの協業スキーム
富士通の大西俊介氏(執行役員常務 グローバルソリューション部門 副部門長)

 デリバリー組織は、各分野のSI事業のエンジニアを集約したジャパン・グローバルゲートウェイ(JGG)が中心となる。富士通の浦元克浩氏(理事 ジャパン・グローバルゲートウェイ本部長)は「今回のサービスではJGGがDevOpsを主導していく。技術要素のケーパビリティの主役として、スクラム、QAチーム、SREなどのサービス体制を統合したデリバリーモデルをJGGで集約して整え推進する」と語った。

富士通の浦元克浩氏(理事 ジャパン・グローバルゲートウェイ本部長)
富士通のサービス提供体制

Red Hat Open Innovation Labsによる支援

 レッドハット側では今回の協業において、以前から提供している顧客伴走型DXコンサルティングのRed Hat Open Innovation Labsによる後方支援が重要となる、とレッドハットの金古毅氏(副社長執行役員 パートナーエコシステム事業本部長)は語った。

レッドハットの金古毅氏(副社長執行役員 パートナーエコシステム事業本部長)

 Red Hat Open Innovation Labsでは、企業のDXに求められる「戦略探求」「組織適応力」「プロダクトデザイン能力」「モダナイゼーション推進力」「デリバリーアジリティー&クイックネス」の5つのビジネスアジリティを向上すべく、各分野のプロフェッショナルが顧客と伴走する。「Red Hat Open Innovation Labsは、いままでに多くの企業にご利用いただき、今回の富士通との協業につながった」と金古氏は述べた。

 レッドハットにとっての協業の意義として、金古氏は、「これまでのRed Hat Open Innovation Labsは、経営やビジネスへのアジャイルコンサルティングが中心で、われわれ自身は(企業システムの)開発リソースを持っていなかった。今回の協業で開発リソースの方々と協業して、お客さまをエンドツーエンドでサポートできるようになる」と語った。

 なお今回の発表では、完全オンラインでの支援がうたわれている。これについて金古氏は、Red Hat Open Innovation Labsは以前からオンラインでのアジャイル推進に対応し、ツールやスキルも知見が集まっていると説明。そのうえで浦元氏は、今回の新サービスでこれらを生かし、要望しだいで完全オンラインにも、細かい密接するコミュニケーションにも対応すると語った。

Red Hat Open Innovation Labsによる顧客伴走型支援コンサルティング