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奈良文化財研究所がBoxを採用、安定した文化財データの保管と効果的な活用を実現

 株式会社Box Japanは9日、独立行政法人国立文化財機構 奈良文化財研究所、および文化財防災センター(以下、防災センター)が、IT基盤として、クラウドストレージを中核としたコンテンツクラウド「Box」を採用したと発表した。同研究所はこれにより、文化財情報の長期保存と効果的な活用、災害対策、職員のより効果的なコミュニケーションによる業務最適化などを実現したという。

 奈良文化財研究所は、平城宮跡や飛鳥・藤原宮跡の発掘調査をはじめ、文化財の保存・修復、整備・活用の研究など、全国の文化財情報のデータベース化、総合的な調査研究に取り組んでいる施設。現在、発掘調査等の調査成果は、紙やフィルムからデジタルデータへの移行が進展しており、これらの貴重なデータを確実に保護するために、長期的に安定したデータ保管と効果的な活用が求められている。

 また近年では、容量が巨大化する3次元計測データの保管も課題となっており、大容量ストレージが必要とされていたものの、オンプレミスのファイルサーバーでは容量や障害時の対応を含め、安定的なデータ保管の点で限界があったとのこと。

 また、本部を奈良文化財研究所内に持つ防災センターは、災害発生時に、同研究所あるいは東京文化財研究所に中核拠点を設置することになり、災害時の拠点機能の確保、全国レベルでの活動の機動性を確保する必要があるほか、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる在宅勤務時に、自宅からデータへのアクセスや適切な共有ができない、といった課題も抱えていた。

 そこでこうした課題を踏まえ、今後も増大するデータの安定的な管理と効率的かつ高セキュリティ環境でのデータ活用・共有を行える基盤を検討した結果、ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)にも登録され、文部科学省等でも実績のあるBoxの採用を決めたという。

 今夏のBoxの採用により、ファイルサーバーで課題だった容量管理やディスク障害への対応、災害対策、バックアップ等の運用管理が不要になったほか、版管理や誤って削除したファイルの復元が容易に行えるなど、情報保護機能が強化されており、課題だった安定的なデータ保管も実現したとしている。

 一方で業務最適化の面では、関係者との安定したデータ共有や、資料を基にした効果的なコミュニケーションができるようになり、効果的なデータ活用にも寄与したとのことだ。