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ソフトバンク、GPUによるvRANとMECの機能を統合した検証を可能にする研究施設「AI-on-5G Lab.」をNVIDIAと合同で開設

 ソフトバンク株式会社は10日、5Gの仮想化無線ネットワークであるvRAN(virtualized Radio Access Network)およびMEC(Multi-access Edge Computing)が融合した環境で、AI(人工知能)技術を含むさまざまなソリューションの実証や、ビジネス領域への技術応用を行える研究施設「AI-on-5G Lab.」を、2022年にソフトバンク社内に開設することで、米NVIDIAと合意したと発表した。

 ソフトバンクでは、NVIDIAが提供するGPUを活用したvRANや、MECによるエッジコンピューティング処理を高く評価し、NVIDIAと共同で2019年には「GPUの映像レンダリングによるGeForce NOWの日本における商用化」、2020年には「vRANのアクセラレータ性能評価」、20201年には「AIエンジン“Maxine”による超解像の実証」などの検証を行ってきた。

 これらの検証を踏まえて、vRANが普及することのメリットは、通信機器を汎用サーバー上にソフトウェアで構成することによるコストダウンだけでなく、通信以外のさまざまなアプリケーションを構成する役割を同時に提供できることであることが分かったと説明。例えば、プライベート5Gを導入している工場などでは、通信をほとんど行っていない夜間帯に、MECに集積された情報をAI学習するためのコンピューティング資源として活用することで、工場の生産性向上を図れるといったメリットがあるという。

「AI-on-5G Lab.」の構成イメージ

 新たに開設するAI-on-5G Lab.では、GPUによるvRANとMECの両機能を統合したさまざまな検証を可能にする。ソフトバンクが提供するプライベート5G上に、NVIDIAが提供するハードウェアと基地局の仮想化およびAI処理のミドルウェア、ネットワークソフトウェアプロバイダーのMavenirが提供する、仮想化された無線信号処理ソフトウェアおよびコアネットワークのソフトウェア、Foxconn Technology Groupが提供する物理的アンテナという構成で、プライベート5Gの通信に必要なソフトウェアとAIのMECアプリが融合された完全仮想化プラットフォームとなる。

 また、AI-on-5G Lab.では、ラボ内での検証だけでなく、プライベート5Gのユースケースの商用化に向けた検証なども行う予定としている。

 ソフトバンクは、AI-on-5G Lab.でのさまざまな実証を通して、エンドツーエンドのプライベート5G向けソリューションの開発や、完全仮想化されたプライベート5Gの商用化を推進すると説明。また、2021年7月に公開した「6Gに向けた12の挑戦」の一つである、「AIのネットワーク」の開発検証を行う場としても、AI-on-5G Lab.を活用していくとしている。