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ソフトバンク、AIとRANを同一のNVIDIAプラットフォーム上で動作可能にする統合ソリューション「AITRAS」を開発開始

 ソフトバンク株式会社は13日、AI-RANコンセプトに準拠した、AIとRAN(無線アクセスネットワーク)を同一のNVIDIAアクセラレーテッドコンピューティングプラットフォーム上で動作可能にする、統合ソリューション「AITRAS」の開発を本格的に開始したと発表した。

 AITRASは、NVIDIA AIアクセラレーテッドコンピューティングプラットフォームの特長を生かし、AIとRANの高性能化と効率化を目指したアーキテクチャーであるAI-RANを製品化するもの。NVIDIA GH200 Grace Hopper Superchipプラットフォーム上に、大容量、高性能かつ高品質なRANをキャリアグレードで提供するとともに、生成AIなどさまざまなAIアプリケーションの提供も、同時かつ効率的な運用を可能にする。

 無線環境では、日常的に発生する急激なトラフィック増加や、マルチパスなどによる電波干渉に対して性能を引き出すために、さまざまな高速処理やアルゴリズム機能を適用するが、高度かつ複雑な処理が必要なため、システムの安定性を保つことが課題となる。

 AITRASのL1(物理層)ソフトウェアは、ソフトバンクがNVIDIA AI Aerialプラットフォームをベースに開発したもので、信号の並列処理やタスク起動タイミングの最適化などにより、キャリアグレードに不可欠な高い安定性かつ高性能を実現すると同時に、RAN容量の最大化や消費電力の削減などを実現する。

 また、仮想化基盤と連携するオーケストレーターも開発しており、AIとRANそれぞれのアプリケーション特性を踏まえて、効率的にコンピューティングリソースを動的に配分することで、運用の効率性かつ消費電力の削減などによる経済性の向上が期待できる。

 通信事業者は、AITRASを導入することにより、従来のRANインフラの投資を継続しながら、AIインフラの構築も同時に行えることに加え、AIを活用したネットワークの効率化も図ることで、効率のよい革新的なインフラ投資が可能になるとしている。

 さらに、AITRASには、大規模言語モデル(LLM)の開発・展開を容易にする機能群で構成されたソフトウェアプラットフォーム、NVIDIA AI Enterpriseが実装されている。これにより、顧客である企業自身でAIアプリケーションを開発・展開することも可能になる。

 ソフトバンクは、AITRASの実用性と効果の実証を目的として、通信事業者向けにAITRASのリファレンスキットの2025年以降の提供・展開を目指す。

 通信事業者は、リファレンスキットを自社の屋内外のラボに導入することにより、NVIDIA AIコンピューティングインフラ上に実装されたAI-RANの機能、性能ならびに経済性などの実証を自社のみで行うことが可能になる。また、通信事業者が新たなユースケースの創出のため、事業者自身がAIアプリケーションを開発し、リファレンスキット上に展開・動作させ、検証を行うことも可能になる予定。

 リファレンスキットは、NVIDIA AIコンピューティングインフラ上で、大容量、高性能かつ高品質なキャリアグレードのRANおよび生成AIなど、さまざまなAIアプリケーションが同時に動作する。また、キットでは、効率的なコンピューティングリソースの運用を可能にするオーケストレーターも提供する。

リファレンスキットの概要

 ソフトバンクでは今後、大容量、高性能かつ高品質なキャリアグレードの統合ソリューションであるAITRASを、ソフトバンクの商用ネットワークへ導入するだけではなく、2026年以降には国内外の通信事業者などへの展開・拡大を目指していくとしている。