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北海道電力とHOTnet、ローカル5Gを活用した実地検証を苫東厚真発電所で実施

 北海道電力株式会社と北海道総合通信網株式会社(以下、HOTnet)は1日、苫東厚真発電所構内において、ローカル5Gを活用した生産性向上や運転・保守(O&M:オペレーション&メンテナンス)の高度化に向けた、実地検証を開始したと発表した。検証期間は2021年11月~2022年3月。

 この取り組みは、HOTnetが総務省北海道総合通信局からローカル5Gの基地局及び陸上移動局の無線局免許取得を受けて行うもので、同免許の取得およびこれを活用した取り組みは、北海道内で初めてだという。

 北海道電力とHOTnetでは、2020年度に苫東厚真発電所構内に構築したLTE(4G)の自営等BWAを活用し、火力発電所の現場業務の効率化に向けた実地検証を行った。実地検証の結果、期待通りの効率化成果などを確認できたことから、さらなる生産性向上や高度化に向けて、次世代規格である5Gの通信環境を構築し、検証を行うこととした。

実証実験のイメージ

 検証では、ローカル5Gによる通信状況(電波到達状況や通信速度)のほか、現場作業の少人数化を図り、生産性を向上させるため、無線監視カメラやHMD(ヘッドマウントディスプレイ)、自走式点検ロボット、無線センサーから得られる現場の高精細かつリアルタイムの映像や設備データを用いた、中央操作室などでの遠隔監視の有効性を行う。

 また、技術継承の効率化や習熟期間の短縮化を図るため、HMDを活用した熟練者・メーカー技術者による遠隔指導や、MR(Mixed Reality:複合現実)の技術を活用した熟練者ノウハウ習得の有効性についても検証。異常の早期発見や故障の未然防止、設備利用率の向上を目的としたO&Mの高度化に向け、無線センサーなどの各種情報端末から自動で収集される大量の設備データや運転データを蓄積し、AIなどで解析するための詳細設計も行う。

 北海道電力とHOTnetでは、今回の取り組みにより、火力発電所の一層の安定運転・費用低減を図ると説明。また、今回のノウハウを活用し、他社の工場や発電所のO&Mに関するコンサルティング事業の展開や、ローカル5Gと既存のクラウドサービスなどを組み合わせた新サービスの提供について検討していくとしている。